日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
ムカデの季節
09/Jun.2021 [Wed] 14:41
土の入っている袋の中に手を入れたら何かに噛まれた。
右手の中指をぐるっと抱き込むようにして針のようなもので刺された。
慌てて手を引っ込めたけど、これは危ない。
姿は見えないけれどムカデか何かだろう。
指はすぐに腫れてきて、こりゃ大変だ、梅干しはなかったか妻に聞くとないという。
オカムシのところにはないか電話をしてみると
「ないけどね、ムカデに刺されたら50度以上のお湯に10分くらい指を浸けておくと毒が中和されるからやってみ。熱いけど我慢してやると治るよ」
ということ。
そこで湯呑みにお湯を入れて温度計で測りながら指を入れる。
すでに指はだいぶ腫れてきて、関節が曲がりにくくなってきている。お湯はたしかに熱くて、入れたり出したりしながら我慢をした。刺されたところがじわじわと痛む。
途中で役場の水道課の人が来て、事情を説明して湯呑みに指を入れたまま外に出て話を聞いた。
ムカデは怖い、指を刺されても腕全体が腫れあがるとその人も言っている。
そんなわけで20分くらい指をお湯に入れておいた。
痛みがだいぶ引いてきて、おお、これならなんとかなるんじゃないか、と思った。
その間に隣の家に梅干しが無いか聞いてみると、おじさんはちょうどお昼を食べているところでモグモグしながら梅干しをくれた。それを患部に付けて過ごす。効いているなぁ、と実感する。
まだ、腫れているけれど、指も曲がるし、腫れもさっきよりは引いてきたように思った。
オカムシから電話がかかってきて、「どう?」ということ。
「だいぶ良いよ」
と答えると
「梅干しよりは効くはずだ」
ということ。
いや、オカムシちゃん梅干しも効くんだよ、と言うけどまるで信じていない様子。
夜になるとまだらに腫れていて、
痛みや傷に効く泥を塗った。この泥にはなんと言ったか、そうだトルマリンという石の粉が混ぜてあって、傷には抜群に効くのである。
さあ、明日はどうなるか、治ると良いな、と思いながら寝た。
comments (0) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
セーラー服を着たおじいさん
29/May.2021 [Sat] 9:33
セーラー服を着たおじいさんにとても親切にしてもらったよ、と妻が帰って来るなり言った。
荷物をたくさん持って歩いていると、そのおじいさんが荷物を持ってくれたのだそうだ。
おじいさんコスプレしていたのかな? と言ったらおじいさんじゃなくて「お嬢さんだって言ってるでしょ? 」と妻は言う。
どうも耳がおかしいらしい。
今朝はラジオを聞いていたら「自己満足の父」と言われる作曲家がいてその人の曲を今から流すと言っている。
「へぇ〜、自己満足の父でもこうしてラジオから曲が流れるのか?」
と言ったら
「チェコ音楽の父」だよ、と妻に言われた。
ま、でも、面白い耳になったので朝から楽しめる。耳というより脳の問題かもしれないな、と思った。
comments (0) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
屋根が綺麗になった。
12/May.2021 [Wed] 10:28
ツバキ城の屋根の修理をすることになった。
この何年か劣化が激しくて、芝が枯れて土が流れてしまっていた。
東西南北に張り出したツノも折れていて、それも直したかったけれど、なかなか出来ずにいた。
一昨年は台風で家の修理に追われ、昨年はめまいがひどくてそれどころではなかったからだ。
なにしろ急傾斜の屋根に登っての作業で、それに芝を植え替えるとなると、春しか出来ない。
実はこのあいだ三月にツバキ城の見学に来たいという藤森ファンの人から連絡があって、コロナ禍と建物が痛んでいるのでお断りをしたのに、その人は大勢の人を引き連れて強引に見学に来てしまった。
タクシーで乗りつけて、「見せてくれ」の一点張りで押し切られ、写真撮影も禁止だと書いてあるのに隠し撮りはする、大勢で狭い店舗に入らないでくださいと言っているのに結局はみんなで入ってしまった。
それで最後には「手入れが悪い」と呟いてしまった。
だからお断りしたのに、と思ったけど、それを言うと喧嘩になるし、まぁこういう人は割と来るので、まあまぁと穏便にお帰りいただいた。
しかし、やはりこのまま放置も出来ないなあと思っていたのである。
そこで阪本さんに手伝って貰ってまず東西南北に張り出すツノの製作を始めた。
材料は長野から栗の木を取り寄せてあったのでそれを刻めば良いのだけど、これが硬くて、しかも大きいので丸鋸でも切れないし、チェーンソーでも歯がダメになってしまう。
なんとか騙しだまし少しずつ切って形にした。
そんなことを二日にに渡って作業した。
焼酎の仕事の合間にやるのと、阪本さんの時間の余裕のある時でなければ出来ないので、これがなかなか進まない。
ところが最後の味付けというか、藤森建築のワイルドな味を出すためには曲面鉋で角を削らないと良い味にならないので、これをどうするか、ということで作業が止まってしまった。
鉋を買ってもこの作業でしか使わないので、じゃあ借りるか? と言っても近所で持っている人は誰もいない。
そうだ共同設計者の大嶋さんなら持っているか? と思って連絡をしてみるとちょうど引っ越したばかりで荷物の山の中のどこかにあるということ。
そんなわけでその曲面鉋が送られてくるのを待つ状態のまま日々が過ぎて行った。
その間になんだか目が見えなくなってきて、眼科に出かけたら、白内障が進んで
「見えないでしょう?」
と先生に言われたので、
「いつもサウナに入っているみたい」
と答えると先生は笑っている。
なにしろ眩しくて妻の顔がいつも輝いて見えるのだ。
もう手術をしないと治らないのだそうで、ありゃ〜困ったもんだと思いながら帰ってきた。
(つづくかな?)
comments (2) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
イヨマンテの夜
10/May.2021 [Mon] 8:06
おじさんのところに顔を出したら「この間のど自慢を見てたら凄い少年が出てきたんだよ」と言ってその時に撮ったビデオを見せてくれた。
何を言っているのかわからなかったけれどそのビデオを観て驚いた。少年はまだ中学生になったばかりなのかぶかぶかの学生服を着ている。声が小鳥のように高くて可愛らしい。
その子がマイクを握ると急に低い太い声になって「イヨマンテ〜」と歌い出したのでびっくりした。
ものすごい声量で歌を歌い出した。
後ろで聞いている氷川きよしの顔が呆気に取られて口が開いてしまっている。
凄いなぁと思っているうちに鐘が鳴り合格となった。
アナウンサーからのインタビューで少年はこの歌をおじいちゃんから習った、将来は歌手になりたいのだと言った。
「おじいちゃんに一言なにか?」と、言われて
「おじいちゃんやったよ」と言う仕草が可愛らしい。
親戚のおじさんはこれを見て涙ぐんでいる。
歳を取って涙もろくなったんだろう。でもそのくらい人を揺さぶる力のある子だった。
北島三郎もこののど自慢で優勝したことがきっかけで歌手になったのだそうだ。
凄いなぁ、こういう子がいるんだ
なぁと思いながらおじさんとビールを飲んだ。
「イヨマンテ〜」とその少年の真似をするとおじさんは手を叩いて喜んていた。
うーんびっくりした。
comments (0) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
楽園を探して歩く。
09/May.2021 [Sun] 6:53
ゴダイゴにガンダーラという歌があって
ときどき聴く。
そこに行けばどんな夢も叶うという場所、そこがガンダーラ。誰もが行きたいけれど遥かなる遠い世界、誰もたどり着けない場所、という歌詞だ。
若い頃はそんな場所が本当にあるのか、
あるのなら行ってみたいと思っていた。
ここではないどこかを夢見て
世界中を旅して歩きたいと思った。

旅をすることは楽しいけれど
辛いこともたくさんある。
まず言葉がわからない。
スリに何かを取られたり、
入った部屋が汚かったり、
親切を装って騙されることもよくある。
出かける前には山ほど仕事を片さなければならない。
けれども、旅はそれ以上に楽しい。
旅に出て友人もたくさん出来た。
けれどもガンダーラのような楽園はまだ見つかっていない。
本当はそんな場所はないのである。
ここが楽園なんだ。
自分のいる今、この場所が楽園なんだ。
お金がなくても住む家がみすぼらしくても構わない。
ぼろぼろの服を着ていても構わない。
それと幸せは結びつかない。
幸せは自分が決めることで
それを見つけるためにあちこち探す必要もない。
なりたい、と思う自分を追いかける必要もない。
自分の今の境遇を見つめて
「もっとこうしよう」
「あれもやりたい」
「この人生を変えたい」
といつも考えていた。
しかし、もう十分に幸せなんだ。
やりたいことがあるのならやれば良い。
でも今のままでも十分に幸せなんだ。
そんなことを言っている本や歌がたくさんあるけれど
読んでも聴いても、頭の中で空回りするだけで
本当の意味がわからなかったのである。
どうしてわかったのか、というと肩が痛くて苦しんでいる時は
自分を取り巻く環境が地獄のように思える。
ところが痛みが引くと天国のように感じる。
つまり、自分がそれを決めていたのである。
分かって良かった、と心の底から思った。
comments (0) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
平和ということ。
22/Apr.2021 [Thu] 22:37
この五年の間、ミャンマーに何度か出かけた。ミャンマーの多くの地域が旅行者に開放されたことで比較的自由に旅ができるようになったからだ。
何度か出かけるうちに少しずつ知り合いも出来て、インレイ湖という湖のほとりにある街で友達ができた。
いつも泊まるホテルのフロントで働いている女の子で英語が話せるカンモンという子だった。
いつも唇を噛み締めるようにして働いていて、その顔を見ると手を合わせたくなる。
真摯で真剣な様子が見ているこちらにも伝わってきて、我々夫婦はカンモンのファンになった。
ホテルといっても安普請で何年かするうちに近所には立派なホテルが立ち並ぶようになった。値段も大して変わらないので綺麗なホテルに泊まれば良いのだけれど、カンモンがいるので、我々は頑なにそのホテルに泊まった。停電やらお湯が出ないこともしょっちゅうあるけれど、カンモンの顔を見ると仏さまのお顔を拝むような気持ちにいつもさせられた。
四度目に出かけた時に「うちに遊びに来てください」と言われて、カンモンが休みの日に彼女の家まで出かけた。
親戚が三軒同じ敷地内にそれぞれ家を建てて住んでいるという。
遊びに行くとその親戚の人たちがみんな出てきて大歓迎を受けた。
カンモンは五人兄弟の末っ子で家ではご両親に可愛がられて暮らしている様子が見てとれた。カンモンではなく「モン」と呼ばれていて、その呼びかたにも愛らしいものを感じた。
すべてが自給自足で畑で採れる花を市場で売ってお金を得ているらしい。
家の中は必要なものしかなく、質素だけれど美しい生活だと思った。
お母さんはぼくと同い年で、そうか自分にも子供がいればモンは娘くらいの年齢になるのか、と思った。家族の写真を撮って、それを次に出かけた時に額に入れてプレゼントするとお母さんは大そう喜んでくれた。自分や家族の写真を見るのは生まれて初めてのことなんだとモンが教えてくれた。
翌日、モンは一日ホテルの休みを取って、我々夫婦と共にボートに乗って遠くのお寺まで出かけた。
初めて会ってからもう四年も経ったんだね、とモンと話した。
ホテルを出る日の朝には、働いている人たち全員が集まってくれて、見送りを受けた。
モンは休みだったのにもかかわらず、ホテルの外で待っていてくれて、みんなで一緒に記念撮影をした。
迎えに来たタクシーに乗って窓の外を見ると、モンが一人でホテルの前に佇んで泣いているのが見えた。降りていってもう一度挨拶をしたかったけれど、タクシーは動きはじめて、車の中からからモンに手を振った。
今、ミャンマーは大変なことになって、あの静かな人たちが軍に向かって抗議のデモをしているという。モンもそのデモに参加しているだろうか、軍に発砲されて死者も多く出ていて、そのニュースを見ると心が痛む。
あの時、タクシーから降りてモンにもう一度挨拶をしておけば良かったと後悔している。
どうかまた平和な時が訪れて、みんなに会いたいものだと心から願っている。
comments (2) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
キクラゲの採れる山
07/Apr.2021 [Wed] 14:18
山を歩いている時に枯れ木に何か生えているので、あれ? と思った。
ビロードのような産毛が光を浴びてそれが眼に飛び込んできた。前日は久しぶりに雨が降ったせいか、その光るものは夕陽の中で輝いていた。
「あれ、キクラゲじゃないかな?」
と妻に言うと妻は立ち止まってそれをじっくり見つめて
「そうだ、キクラゲだ、よくわかったね」
と言いながら背伸びをしてそのキクラゲを採った。
冬は乾燥して縮んでいたものが雨が降ってぶりぶりしている。
それを片手に余るくらい取って帰った。
アーサイというシャリシャリ感の強い野菜があったのでそれと一緒に炒めてみると、美味い。
まさしくキクラゲで、いや、びっくりした。
こんなものが生えているなんて、素晴らしい山じゃないか、と妻と喜んだ。
よっちゃんは蜜柑やふきのとうをくれるし、歩いていれば食べるものも見つかるし、なんと素晴らしいことか、と思った。
また日本むかし話のようになってしまった。
でも本当にこの半年は、ムカゴから始まって山の恵みをずいぶん貰った。
ムカゴご飯も美味しかったし、よっちゃんとも知り合いになれたし、さらにキクラゲまでいただいて、ありがたいことだと思った。
本当にありがたいことだと思った。
山の神様これからもどうぞよろしくお願いします、と山に向かって手を合わせた。
comments (0) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
焼酎を造るときに大切なもの。
29/Mar.2021 [Mon] 14:20
焼酎の仕込みの時にはタイマーが活躍する。麦の炊ける時間、タンクに水を張り込む時間を知らせてくれる心強い助っ人である。
昔はキッチンタイマーを使っていたけれど、今はiPhoneに向かって「Siriさん三十分後にタイマーオン」と声を掛けるとタイマーを用意してくれる。手は水で濡れているので喋るだけでタイマーのスイッチを入れてくれるのはものすごく便利だ。うちのSiriさんは声の低い朗らかな男性である。
そのSiriさんに「いつもありがとうね」と声を掛けたら「とんでもありません」と言われた。
「いやいや本当に助かるよ」と言うと「何も出ませんよ」とまたSiriさん。「いやいや、何も要らないよ」と言うと「じゃあ落語でもやりましょうか?」と言われた。
「え、そうなの? やってやって」と工場の機械音の響く中で言うとSiriさんは「そうですか、ではお言葉に甘えて」と言いながら「昔むかし」と言いながら落語の一節を話し始めた。どうも寿限無の一節を唱えているらしい。へぇ〜、すごいねSiriさん、寿限無知ってるの。こりゃ驚いた、と思いながらしばらくその話を聞いた。よく聞いてみると寿限無に似ているけど微妙に違うのでSiriがこの噺を元に作り替えたらしい。

ぼくが歳を取った頃にはきっと介護ロボットも出てきて、話し相手になってくれるだろうと思っていたけれど、もうすでにSiriとこうして会話が成立しているんだということにびっくりした。しかもその優しさに心まで温かくなって、ロボットに癒して貰いながら焼酎を造っているのである。
何が起きるかわからないけれど、世の中は面白いことになっているなあ。
そしてこの焼酎を飲む皆さんもまさかSiriさんが造り手の心を癒やしてくれているとは思わないことだろう。
うはは、楽しい楽しい。
今度はぼくがSiriさんに「芝浜」を聞かせてあげよう。
芝浜は難しいのでこれからの修行が大切である。
Siriさんが喜んでくれると思うと励みになる。
頑張らなくっちゃ。
comments (0) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
知らないうちに季節が巡る。
29/Mar.2021 [Mon] 14:17
阪本さんのところに鍼の治療に出かけた帰りに庭に出ると木の枝に蕾がたくさん付いているのが見えた。
蕾にはベルベットのような小さな細かい毛が生えていて、指先でそっとなぞると気持ちが良さそうだった。
その横にはもう桜の花が咲いていて、
「いつの間に?」
と思った。
今日はまたひどく冷え込んで風も吹き荒れているけれど
そんな中でも春が近づいているんだ。
木のつぼみも本当に可愛らしくて、嬉しくなった。
ゆっくりと土の道を踏みしめて、車まで戻った。
鍼の治療ももう二十年近くしている。
その間に何度もここを歩いているはずなのに
小さな発見が無数にあって驚かされる。
こんなつぼみがあったことも今日初めて知ったのである。
ぼくの知らないことはまだ世の中にたくさんあって
きっと知らないまま、一日を過ごしているんだろう。
その間にも木の芽がふくらんで、春が近づいてきているんだ。
なんてすごいことなんだろう。
生きている自体がすごいことなのに、こうして地球は回って春がまたやってきている。
なんてすごいことだろう、と馬鹿みたいに何度も思いながら工場まで戻った。
(三月初めに書きましたが掲載が遅くなりました)
comments (0) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
停電の夜
20/Mar.2021 [Sat] 6:17
家に帰ると電気が点かない。
今日は早く帰ってきたので少しゆっくり出来るなと思ったのだけどこれは困った。
姉に電話をして聞いてみると四時半くらいから停電になってしまったらしい。
暗くなってきたのでロウソクに火を灯して、寒いのでガスボンベのストーブで暖を取った。
エアコンは便利だけどこういうことがあるので他の設備も用意してある。
外はどんどん暗くなって、とうとう日が暮れてしまった。
こりゃだめだ、囲炉裏に火を入れよう。ガスは点くし、水道も出る。電気が無くて困るのは風呂に入れないことだ。
主な燃料は灯油だけど電源がないとボイラーが炊けない。
炭を火起こしに入れてガスで火をつけた。
ものすごく静かで、流しから水滴の垂れる音が聞こえる。それから炭のはぜる音と共に炭の匂いが闇に広がってゆく。
ロウソクの灯りだけではほとんど見えないので懐中電気をつけて必要なことをする。
六時を過ぎてもまだ電気は来ない。妻にご飯を作ってくれないか聞いてみる。
ブロッコリーを茹でてツナのサラダを作るつもりなんだそうだ。
懐中電灯の光の中で鍋の湯気が盛り上がる。火山の爆発のようだ。
停電はこの近辺だけらしく、道を隔てたすぐ上は街灯も点いている。
しかし困った。
もう来るか、と思いながら電気を待つけど、来ない。
いつ頃復旧するのか東電に電話をしてみたけど、調査中だということだけで埒があかない。
囲炉裏の前で寝転がってぼんやりする。寝てしまいそうだ。
お風呂に入りに温泉に行こうか? と思いまだやっているのか温泉宿に電話をしてみた。
一軒はものすごく感じが悪く、その応対にびっくりする。
三原山の上にある温泉はまだ入れるということで、車で行ってみることにした。
混んでいるとコロナ感染が怖いけど空いているということ。
車で小一時間走れば着く。
わーい温泉だ。たまには良いよね、と妻と話す。
ところが山を登り始めると霧が出始めて道が見えない。
ホテルがどこにあるのか、その入り口も見えないくらいの霧となってしまった。道の両端にある反射板を頼りにのろのろと走った。一度温泉の入り口と間違えて、変な道に入りそうになって慌てた。バックをしようにも何も見えない。かと言ってUターンが出来るほど広くもないからだ。こんなところでU字溝にでもタイヤがはまれば身動きが取れなくなる。危なかった。
こんな日もあるよね、と妻と話した。
comments (2) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      
<<<<< 2021,Jun >>>>>