日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
もういや、こんな生活。
15/Oct.2021 [Fri] 17:31
代車で借りた車のアンテナが伸びていて、これに気がつかずに家まで帰った。
家の入り口には大きなシュロの木があって、バックをした時にこのシュロの枝にアンテナが引っかかって折れてしまった。
うう、これはいけない。
気がつかずに乗って帰ったのだから、自分の責任だ。
しかしこの修理代も取られるのは辛すぎる。
家に帰ってからガッカリしていると妻がそれを見て「色々大変だね」と声を掛けてくれた。
「もう嫌、こんな生活。あたし、実家に帰らせていただきます」と言うと妻はそれが面白いと言って笑っている。
懐かしいなぁ。小松政夫のギャグで中学生の頃に流行った。
妻はこういうものをほとんど知らないので、何か言うとやたらと面白がって笑ってくれる。
でも、冗談でもこういうことを言って笑うと、気が晴れるから不思議だ。
ま、いいや、自分が壊したんだから正直に謝ってお金を払おう、と思った。
翌日になって修理工場の社長が車を取り替えにやってきた。
一通り直した箇所の説明をしてくれる。
そこですかさず「アンテナが折れちゃった。ごめんなさい」と自分の家の状況を説明しながら言ってみた。
社長は「ええーっ!」と言いながら「これじゃラジオが聞けないよ」とブツブツ言っていたけれど、許してくれたのか、それ以上のことは言わなかった。
走った分のガソリンは昨日入れておいたのだ。車検がいつ終わるのかわからないけれど、とにかくいつ来ても良いように、毎日入れておこうと思って、とりあえず昨日、二日分のガソリンを入れておいた。
アンテナの修理代は取られることなく、車検も終わった。
やれやれ、助かった。
正直に言うことは大切ですね。
人生何が起きるかわからない。その都度真剣に対処するしかない、というのが長く生きてきてわかったことだ。
そんなに大袈裟に言うか? って?  いやいや、これほどの真理はないですよ。下手に隠そうとすれば、後でことが大きくなって自分に返ってくる。その場を逃げるなんて、不器用な自分には考えられない。
というわけで今日からまた自分の車で家に帰れる。
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それぞれがプチ刑事
08/Oct.2021 [Fri] 10:47
乗っている車が車検になって、修理検査のあいだ、代車を借りることになった。
車に関しては新車は買ったことがなくて、いつも中古車を探して貰って乗っている。
探して貰うので車種も選べないし、車の色も選べない。
自分の希望する金額を告げるだけだ。
新車を買うほどお金に余裕があるわけでもなく、欲を言えばキリがない。
それに焼酎の瓶を運ぶためには軽のボックスカーでないと都合が悪い。新車の軽でも今は高いし、それに大島は塩ですぐに錆びる。
車もよくぶつけるので、新車をぶつけたり擦ったりするとショックも大きい。
そんなわけで中古車にいつも乗っているというわけだ。
昔は人が廃車にしようとしている車を貰って乗っていた。
しかしそういう車は修理代も掛かるので、まあ程度の悪くない中古車を買うことに落ち着いた。
歩くのは好きだけど、大島では車がないとどうにも仕事にならないからだ。
今乗っているのはスバルのボックスカーでこれは力があって気に入っている。
オートマも好きではないので、マニュアル車を探して貰ってそれを買った。
島は坂道が多いので、そういう道でもトップで走れるような車となると、選択肢は限られてくるわけだ。
それで代車はスズキエブリのオートマを借りた。ところがこの車は力がないし、燃費も悪い。まあ何日かの我慢なので、これに乗っている。
すると早速隣のおじさんがやってきて「車はなぁしたアよ?」と聞かれた。
つまりどうして車が変わったのか、ということを聞かれたので、車検で代車を借りたんだよ、と説明した。
山を歩いているとよっちゃんが車でスルスルっと寄って来て、「車が違うからいないのかと思った」ということ。
ムカゴを採ったから工場に寄ろうとしたけれど、車が違うので躊躇したのだそうだ。
みんなよく見ているなあ、と感心した。
田舎は人に見られているから嫌だ、という人もいるけれど、こうしたちょっとした変化に敏感だからこそ、犯罪も防げる。
みんながプチ刑事になることで近所の人の動向を知ることが大切なのだ。
そんなわけで無事にムカゴを貰った。今季初めてのムカゴだ。
車はもう八年も乗って、次の車検は「どうかなぁ?」と修理をしてくれているおじさんに言われた。
今乗っている車はすでに廃盤で、マニュアルで力のある軽となるとなかなか無いということ。
ま、どうにかなるさ。
心配しなくとも世の中には車は沢山ある。
ただ自分のこだわりがあるとその選択肢が狭まるというだけだ。
自分で選べないのだから来た車を乗りこなすしかない。
なんでもそうだよな、と思った。
お金に余裕があるのなら別だけど、そうでなければ我慢をして慣れるしかないのである。
あと二年の間に次の車を探すこと。
楽しみが増えたと思って探すことにした。
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竜巻か突風か。
07/Oct.2021 [Thu] 15:27
先日の台風では工場の屋根を剥がされた。
突風が吹いたのかトタンが二枚、折り紙のように綺麗に折られている。
目立つところなので近所の人に「やれなあ」
と、言われる。
やれなあ、というのは、大変だなぁ、というような意味合いだ。
うちと、ここから50メートルくらい離れた床屋さんの軒先がやられて、他の家はなんともない。
風の経路があるのかな? とも思うけれど、自然のことはわからない。
でもこのくらいなら自分で修理出来るのでやれやれ、と胸を撫で下ろした。
今日、太陽が隠れていたので大急ぎで屋根に登って修理をした。直射日光は目に良くないので、日差しを避けたかったのだ。
屋根の被害は思っていたほどひどくもなく、一時間ほどで綺麗に直せた。
これで一安心。
以前は自分には修理なんて出来ないと思っていたけれど、何でもやってみるもんだなぁ、と思っている。
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季節が巡ってゆく。
28/Sep.2021 [Tue] 9:08
少し前までは蝉の声の中を歩いていたけれど、今は虫の音に包まれるようになった。
あれだけ鳴いていた蝉も勢力が弱まって、季節が変わったんだなと改めて思った。
今年も本当に暑くてクラクラしていたのに、もう今ではそんなことも昔のことのように思える。
窓を開けて床に着くと、虫の声に覆われて、どこか宙に浮いているような気分になる。
しかも今日は中秋の名月で青白い月明かりが斜めに部屋に注ぐ中で横になっている。
夏の疲れが溶けてゆくような気持ちになって、そのうち眠ってしまった。
もうすぐ仕込みが始まることを意識しているのか、仕込みの夢をよく見るようになった。
たいていは仕込みがうまくいかなくて、試行錯誤している夢だ。
昨夜は蒸留をしようとしているのに、ボイラーがうまく炊けなくて困ってしまった。
そのうちに蒸留するもろみ液が漏れてなくなってしまった。
苦労して作ったもろみが無くなったので、本当に困った。
せっかく虫の音に包まれて良い気持ちで眠ったのに、目が覚める頃にはこんな夢を見ている。
変なものだなあと思った。
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髪の毛が不自由なわたし。
25/Sep.2021 [Sat] 9:08
このあいだ、機械を修理するための道具入れが欲しいと思ってホームセンターに行った。
もう少し大きい方が良いんじゃないかなぁ? と思いながら小さめのバッグを見ているところに
「コンパクトだけど、そこそこ入る!
コンパクトツールバッグ」
というコピーが書いてあって唸ってしまった。
まさに買おうとしている人が考えていることを代弁しているかのようなコピーだったからだ。
ひとつ上のサイズだと大きすぎるしバッグ自体が重くて持ち運ぶのに不便だと思った。
それでこの小さめのバッグを手に取って見ていたらこのコピーが書いてあったというわけである。
それを買って帰ってから道具を入れてみると確かに小さいけれど色々入って使いやすい。
これは良いものを買った、と満足した。
もうひとつ、
「抜け毛は何もしないと抜け続ける。」
と、電車に乗ったら書いてあった。育毛ケアの宣伝である。
気にしている人の心には刺さるのだろう。
ぼくの抜け毛はもう度を越して、ほとんど無いに等しいので、バリカンで坊主にした。
頭の上に小さなウィッグを付けるのも面白いだろうな、と思っている。
汗をかいたら人前でそれを外して、「暑いですね〜」と言いながら額の汗を拭くと面白いだろう。
友人のオカムシにそのことを話すと喜んで「やってくれ」と言われたのでその気になっている。
今度ぼくを見かけたらぼくの頭をよく見てくださいね〜。
ではでは。
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神様のおつかい。
21/Sep.2021 [Tue] 14:26
山に散歩に行くと道の真ん中にカラス蛇の子供がいた。
こんなところにいると車に轢かれるので道路脇に行くように促すけれど、カラス蛇としてはそれは嫌らしい。
葉っぱで尻尾のあたりを押してやるとトグロを巻いて戦闘態勢のポーズをとった。
おお、やるのかお前。小さいけどやる気十分なんだね。
それで葉っぱを蛇の上に落とすと、カラス蛇はそれをパクッと噛んだ。口の中のピンク色の舌が一瞬見えた。
すごいなぁ、子どもでも野性味は充分だ。
カラス蛇の子どもはそれからようやく動き出して道の脇の土手を登っていった。
それが昨日の話で今日は蔵の脇のポンプの下に蛇がいると妻が言う。ポンプの下にはブロックが敷いてあって、その穴の中に蛇の尻尾が見えた。
マムシだと危ないので行ったり来たりしながら見ていると青大将がその穴から頭を出して様子を伺っている。
その顔がなんとも可愛らしくてつい見とれてしまった。
蔵にいる蛇は神さまの化身なので大切にするようにと昔から言われているけれど、そうなのか神様はこんなに可愛らしいんだ。しばらくその頭だけ出している青大将を眺めていたけれど、妻が来たら、また頭を引っ込めてしまった。
でも逃げないのでここが気に入っているんだろう。
近ごろは何を見ても愛おしく感じて、スズメもツバメも、蛇もみんな愛おしい。見て、嫌だという気持ちにならない。
家には大きなアシタカグモがいるけれど、これも大切な愛おしい存在に思える。どうしたのかな俺? どこかおかしいのかな? とも思うけど、とにかくそんな気持ちだ。
こんな気持ちをどう表せば読み手ち伝わるのかわからないけれど、本当にそんな気持ちだ。
青大将はそのうちにどこかに行ってしまったらしく、ブロックの穴を覗いてみたけど、姿は見えなかった。
(七月に書いたものですが、今頃の掲載になってしまいました)
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今一番行きたい場所。
19/Sep.2021 [Sun] 11:49
渡合温泉に電話をしてみた。
毎年この季節になると岐阜の山奥のこの温泉に浸かるのが楽しみなのだけれど、この何年か、用事が入って行けなかった。
一昨年は台風の被害で家が大変なことになり、昨年はコロナ騒ぎ。
今年も同じくデルタ株が流行りだして、出かけるのを控えている。
渡合温泉のフェイスブックを見ると、最近テレビの取材を受けたそうで、取材にきた芸人さんと共にご主人と女将さんが玄関の前で写真に収まっていた。
ご主人のお腹が少し凹んで見えたので、電話をしてみる気になった。
電話をして懐かしい声を聞きたいと毎日のように思っているけど、気がつくと向こうの忙しい時間でになっていて、つい気後れしてしまう。
お昼頃がちょうどひと段落の時間だと思うけれど、その頃はこっちがバタバタしていることが多いからだ。
それで昨日、ようやくその夢が叶って、電話を掛けた。
女将さんの元気の良い声が聞こえてきて嬉しくなった。
「声が聞けて嬉しいうれしい」と女将さんも言ってくれて、こっちも胸がいっぱいになった。
三分も話していないけど、もう声を聞いただけで気持ちが温かくなった。
今年も行けそうにないんですよ、と言うと、「この季節になるとタニグチさんのことを思い出すから、どうしているかな? と思っていたんよ〜」と温かみのある声で言ってくれた。
電話を切ってからも、ずっと渡合のことを考えて、寂しかった。
大好きな友だちが遊びに来て、何日も遊んだあとで船に乗って帰ってしまったような気持ちだ。
子どもの頃によくそんな寂しい気持ちになったことを思い出した。
今週末にでも出かけてみようか? とも思ったけれど、やはり今は控えた方が良いだろう。
バスを降りてから何時間も歩く山の中のことや、青みがかった山を眺めながら浸かるお湯の気持ち良さや、蕎麦を打って一緒に食べたことや、そんなことを妻と話した。
静謐な時間が流れる宿は日本中を探してもこの渡合温泉だけだろう。
電気の通っていない、ランプだけの光の中で過ごすあのなんとも言えない暖かみのある空間を懐かしく思い出している。
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謎の生物、現る。
13/Sep.2021 [Mon] 13:30
囲炉裏のすぐ脇の板に白い足跡が見つかった。
囲炉裏の中には灰が入っていて、その中から這い出てきた何かが通っていった跡なのだと思われる。
しかしこのくらいの歩幅を考えると、これがどんな生物なのか、まるで予想出来ない。
足が長くて、歩幅が大きい。
想像すると奇妙な生物を考えてしまう。
家の中を這っていて、囲炉裏の中に落ちて、そこからまた這い上がったあと、どこかに逃げていったのだ。
朝起きたら、こんな足跡が見つかったので夜中の出来事なのだろう。這っていった先を探しても、生き物らしきものは見つからず、一体なんだったのか、未だにはっきりしていない。
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台風が迫ってきている。
12/Sep.2021 [Sun] 13:54
また暑さがぶり返してきた。
今日は屋根の修理をしたいので、この暑さは堪える。
日差しが強いので汗をみっちりかくだろう。
昨日、急に空が暗くなってきたと思ったら、ものすごい雨が降ってきて、それが何時間も続いた。
前から直さなきゃと思っていた箇所から雨が漏れ出して、大きな台風が来る前になんとかしよう、と思ったのである。
修理の仕方はわかっていて、道具も揃えてある。
コンクリートの屋根でも、ステンレスの板の屋根でも、一通り修理の仕方を覚えた。
ほとんど独学だけど、試行錯誤をしているうちに分かったというわけである。
あとはやる気ですね。
さあ、梯子を屋根に掛けて、登ろうとしていたら、オカムシがやってきた。
何か用があるわけではなく、単にお茶を飲みに来たらしい。
じゃあまぁ、お茶でも飲もうか、ということになって、ずるずると話をした。
10分くらい、と思っていたのにあっという間に小一時間が経ってしまった。
いつものくだらない話である。
そんなことをしているうちにお昼になりそうで、慌てて屋根に登った。
暑くならないうちに、やってしまおうと思っていたのに、もう屋根の鉄板は熱くなって、目玉焼きが出来そうなくらいだ。
オカムシにも手伝ってもらおうと思っていたら「あっ、俺帰らなきゃ」と言って帰ってしまった。
オカムシは灯油も売っているので、「俺は油を売るのは得意」なんだそうだ。
やれやれ。
今年はひどい台風がどうか来ませんように。
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火を見ると目の色が変わる。
09/Sep.2021 [Thu] 13:48
0さんという友だちがいて、中国出身の女性だ。
明るくていつも元気なので、ぼくたち夫婦はこの人の大ファンである。
さらに頭もよくて、日本語を話すだけではなく英語も出来る。
建築の勉強を続けて、今では関西の大学の教授にもなった。
凄いことですね。
日本に来てまず日本語を学び、さらにその国の大学の教授にまでなるのだ。
しかも明るくて、一緒にいると笑いが絶えない。
そんな0さんのことを急に思い出して電話をしたら、あれ? 電話が繋がらない。旦那さんの携帯に掛けても「現在、この電話番号は使われておりません」ということ。
どうしちゃったのかなぁ? と思って、葉書を書いて送った。
年賀状は貰っているのでその住所に葉書を送ってみた。
するとようやく電話が掛かってきて、また楽しく話が出来たというわけだ。

中国のご両親の話から、(昔、遊びに行ったことがあって、本当に良くして貰った)0さんが教授になってどうしているか、など、話は多岐に渡って一時間も話してしまった。
その中で0さんの生徒が設計した建物がコンベで優勝した話も出てきた。
詳しくは書けないけれど、火をテーマに建物の設計をしたのだそうだ。
火については面白い話があって、その話をすると王さんは喜んでくれた。
どういう話かというと、ぼくの家に遊びにくる人が囲炉裏の前に坐って炭の火を見ると、そこから離れなくなる人が多い、という話だ。
何か問題を抱えている人ほど火をいじりたがる。火箸を使って炭の火をいじって、一日中そこにジッとしている。
そうやっているうちに心が晴れるのか、スッキリした顔になってゆく。
そんな話をした。
火が人の心と密接に関わっていることは間違いないのだろう。
なにしろ人は家の中で火を起こしてそれを見つめながらずっと暮らしてきたのである。
この百年で近代化が進んだけれど、それまでは火を囲んで身を寄せ合って暮らしてきた。
不安な気持ちも、火を見ると落ち着くのは、そういう意味もある。
ヨーロッパには家の中に暖炉があるけれど、日本で囲炉裏が残っている家は少なくなった。
火は危ない反面、生活の中に取り入れれば、心を豊かにしてくれる力を持っている。
そんなことを0さんと話して、楽しかった。
コロナが落ち着いたらまたすぐに会おうね、と話した。
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