日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
空が晴れて本当にきれい。
16/Oct.2014 [Thu] 8:13
昨年の台風から今日で一年が経つ、ということで
空にはヘリコプターが舞っている。
あの音を聞くと、色々なことを思い出す。
報道が飛ばすヘリコプターの音で
土砂に埋もれた生存者のうめき声が聞こえない。
救助に支障をきたすので
ヘリを飛ばさないようにしてくれないか?
という要請もあった。
流されてきた土と木々の独特の匂い。
朝、夜が明けるころになると
現場に走る自衛隊の車の音。

一週間くらい前から、テレビカメラを担いだ
報道陣の姿も見えるようになった。
テレビリポーターの質問というのも
独特で、執拗に、取材の相手が涙を落とすまで
様々な言葉を投げかける。
「今、どんなお気持ちでしょう?」
とカメラを向けられて聞かれると
答えに窮してしまう。
どんなお気持ちって?
と、逆に聞き返したくなる。

カメラの先にはテレビがあって
それが全国に流れていますよ、
というような、奇妙な空気が
レンズから醸される。
日常にはない独特な間合い。

今日はみんなで黙祷を捧げるという。
うちもみんなで、黙祷をしよう。

柿の実が枝の先で熟しているのが見える。
寒くなって葉っぱが色づいている。
緑と柿色と黄色が複雑に混じりあって
本当にきれいだ。
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カナダからの手紙  25
10/Oct.2014 [Fri] 7:56
開演時間が来て、まず担当のM田さんが
マイクを持つと
「それではただいまから、畑中葉子復興支援コンサートを
開演します。開演につきまして、大島町町長から
ご挨拶を申しあげます。町長、よろしくお願いいたします」
と言った。
M田さんは舞台のすそで、姿は見せずに
そのあいさつをしたのだけれど
それにしても大したものだなあ、と思った。

ぼくがこんなふうにできるか? と言われたら
できないだろう。
ぼくの目の前で、M田さんはスラスラと
マイクを持って喋っている。
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家を一軒、まるごと洗う。
08/Oct.2014 [Wed] 17:42
今回の台風は雨よりも風が強かった。
強い、というよりも風の塊が
ぶつかるように飛んでくる。
家も持ち上げられて、一瞬浮く。
海も当然荒れるわけで
潮が吹き上げられて、車も家も塩だらけに
なってしまった。
奄美大島では台風が通り過ぎたあとは
どこの家庭でも、高圧洗浄器を使って
家を丸ごと洗うのだ、と
聞いたことがある。
(たしかにそれは良いかもしれない)
そう思って、ぼくもやってみることにした。
焼酎工場は外壁に平板トタンを使っていて
塩が付くと錆びてくる。
屋根も波板のトタンで、これも錆びる。
錆びれば、錆び止めを塗るか、ペンキを塗らなければ
ならないわけで、これに掛けるお金は結構な金額だ。
外壁だけで、30万円。
屋根でも、20万円以上は掛かる。
放置しておくと錆びたところから穴が開いて
雨漏りの原因になるので、こうなると
屋根を葺き替えるしかない。
それならば、手間は掛かるけど、洗えば良いのではないか?
ということになった。
面白いのは、大島では誰もこういうことをしない
ということ。
どうしてだろう? と思うけれど、わからない。
まあ、良いと思うことでも、みんながやるわけではないので
世の中にはわからないことのほうが多い、としか
言いようがない。
わからない。

それで昨日は家と工場を、洗った。
長いホースを用意して、まず自宅の外壁を洗ってから
屋根に登った。
粉々に千切られた葉っぱが塩と一緒に張り付いている。
あれ、ここ、板がなくなっている。
軒下の、なんていうところだろう?
破風というのかな?
ここが開いていたら、次の台風でまた
雨が入り込んで来てしまう。
まあ、順番にやることにして、とにかく塩を流した。
車も塩だらけで、触るとべたべたする。
前の車はエンジンの調子は良かったけれど
屋根に穴が開いて、困った。
洗い流すと、濃い塩が下に溜まって、車の底が
錆びる、という人もいる。
だから洗ったら下もきちんと拭きなさい、
と隣のおじさんに教わった。
たしかになあ。
ということで一日がほとんど終わってしまった。
空がきれいだったな。
おかげさまでよく眠れた。
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カナダからの手紙 24
07/Oct.2014 [Tue] 7:07
さて、じゃあ、行きましょうか?
とぼくは言った。

会場は、もう半分くらい席が埋まっていた。
まだ開場までずいぶん間があるのに
ありがたいことである。

席は二百以上あるのだろうか?
それを考えれば、もうこれでも充分人が入っているように思った。
とにかく、被災した人たちに歌を届けたい、という
畑中さんの想いは叶うように感じた。
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カナダからの手紙 23
02/Jun.2014 [Mon] 7:12
今回の大島の公演はノーギャラである。
その意味も含めて、せめて美味しいご飯を食べてくださいね、
と思った。言葉には出さないけれど
そういう気持ちが伝わればいいな、と、ご飯をよそりながら思った。
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カナダからの手紙  22
02/Jun.2014 [Mon] 7:10
以前、東京七島酒造組合というぼくも所属している組合の
イベントに畑中さんが来てくれたときに
同じく八丈島出身のお笑いのコンビが来てくれたことがあった。
ぼくはイベントの担当ということもあり
楽屋に挨拶に行ったのだけれど
そのお笑いの一人は椅子から立ち上がろうともせず
「よろしく」
とだけ言った。
本当に少ないギャラだったし、こちらとしても申し訳ない気持ちもあった。
まあ、芸能界の人にはこういう人も多いのだろう、と思っているので
何とも思わなかった。
けれども畑中さんは、その人に対して
「失礼だ」と言って怒った。
ギャラが多かろうと少なかろうとそんなことは関係ありません。
そういう態度はいずれ自分に返ってきます、
とはっきり言った。
そのことを今でも思い出す。
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カナダからの手紙 21
29/May.2014 [Thu] 17:14
前の週だったか、東京で会った友人に
「来週、畑中葉子さんが大島に来るんだよ」
という話しをした。
すると友人は
「ああ、あのAV女優の?」
と言ったので驚いた。
日活ロマンポルノには確かに出ていたけれど
それとAVは違うと思う。
でも友人は女性ということもあって
そういう意味では畑中さんに対して辛らつなのかもしれない。
世間でもそういう目で見る人は多いのだろう。
でも、実際にこうして付き合ってみると
きちんとした人で、礼儀もわきまえている。
何か、ひとつイベントが終わったときは必ずお礼の葉書が
届くし、その文面も手書きで丁寧に書かれていた。
こういうふうにきちんとお礼の手紙を書ける人は
本当に少なくなった。
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カナダからの手紙  20
25/May.2014 [Sun] 8:14
畑中さんはツバキ城に入ると、早々に二階に上がって
歌の練習を始めた。
「アンコ椿は恋の花」という歌の歌詞が
まだはっきりしないらしい。
朝のリハーサルのときは、途中で詰まってしまった。
「全部覚えたんだけどなあ・・」
とそのときは悔しそうに独り言を言っていた。
それがマイクを通して全部聞こえてしまうのだけれど
畑中さんは気にしていないらしかった。
ツバキ城の二階で歌う声は、建物全体に響くので
一階だけではなく、台所にいても、その歌声は聞こえた。
そうすることで本番前の集中力を高めているのかもしれない。
とにかく今は静かにしていることが、一番良いように思った。
食事の支度をして、その準備ができたところで畑中さんを呼んだ。
「まだ早いんじゃないの?」
と妻は言った。
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カナダからの手紙 19
23/May.2014 [Fri] 8:14
工場に行くと、姉が来ていた。
車を出して帰るところで、それを呼び止めた。
車の中から口を大きく開けてびっくりしたような表情をしているのが見えた。
畑中さんが来ることと、それが今日だ、ということは
結びついていなかったのではないだろうか?
挨拶もそこそこに、二人はツバキ城の軒先で話し込んでいる。
もうずっと昔からの知り合いのように
ひそひそ声を潜めて、なにか喋っている。
あとで畑中さんのブログを読むと
「お姉さまは、震災の話しで涙を流されていた」
と書いてあった。
それに心を打たれたのだそうだ。
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カナダからの手紙 18
21/May.2014 [Wed] 8:17
「いいえ、大丈夫です」
畑中さんは言った。
芯の強い人なんだろう。
ぼくがここを訪れたのは災害があってから二ヶ月ほど
経ってからのことだった。
その日は一日、言葉が出ないほど、強い衝撃を覚えた。
現場を見ただけでもそうなのに、実際に震災に遭った人たちの
ショックは想像を絶するものがある。
それから、新しく設けられた顕花台に行った。
花は用意してこなかったので、二人で手を合わせた。
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