日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
大工さんが来てくれた。
01/Aug.2021 [Sun] 9:19
前から頼んであった大工さんがようやく修理に来てくれた。
二年前の台風で家の屋根を剥がされて家中水浸しになってしまった屋根の修理と壊れたままになっていた玄関を直してくれることになった。
大島にいる大工さんは数が限られているので頼んだ順番待ちで今ごろになったというわけである。
だいたいのところは阪本さんや大嶋さんに手伝ってもらいながら自力で直した。
しかし玄関などの細かい細工が必要なところは素人では無理で、大工さんに頼んだというわけである。
大工さんの仕事は美しい。
戸締りもぴたっとしてすきま風も入ってこない。
雨も吹き込まないし、玄関の上がり框が葉っぱだらけになることもない。
ありがたいことである。
この二年間は修理に追われて、屋根の板金を叩いていたら耳はおかしくなるわ、めまいはしてくるわ、目は白内障になるわ、過酷な仕事だったんだなあと、痛感した。こういうことはプロに頼むのか良いのだ。
しかし雨漏りが続いて、なんとかしなきゃ、と必死だったのも事実である。
とにかく、これで一安心。
今年ももうすでに台風が来ていて、どんなことになるやら、心配は尽きないけれど、とにかく今日も元気に暮らしている。
ありがたいことである。
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「猫ピッチャー」を早くイタリアに輸出してください。
07/Jul.2021 [Wed] 9:33
イタリアの友人、パオラとジョバンニからメールが来た。
二人ともコロナのワクチンを打ったのでもう旅行に出かけるという。
ポルトガルのリスボンまで行くのだということ。
ありゃー、もう旅に出るのか。
イタリアは今までコロナの規制が厳しく、家から一歩も出られない日が長く続いた。
その間に何度も「猫ピッチャー」を翻訳して送ってあげようと思ったのだ。
猫ピッチャーは文字通り猫のミー太郎がピッチャーとしてニャイアンツで活躍するマンガで、これがなんとも可愛い。
ジョバンニとパオラはタバタという猫を飼っていて、東京に来た時は「田端」に行きたいと言っていた。飼い猫と同じ名前なので、その駅に行ってみたかったらしい。
猫も大好きなので、このマンガを読んだら大喜びするだろうと思ったのだ。
そうか、間に合わなかったか。
でも猫ピッチャーは続々と新刊が出るし、ひとつ読んだら、また次も読みたくなる。一度送れば「もっと読みたい」と言うだろうしそれを翻訳していたら大変なことになる。
それに日本の微妙なニュアンスの面白さをどうやって訳すのか、それも考えると頭が一杯になってくる。
井筒監督の味わい深さや、ニャーという擬音、相棒の平野捕手と共に次々と編み出される魔球、(ニャツクルボールなんて難しすぎる)飼い主のユキちゃんのひょうひょうとした可愛らしさなど、どれも翻訳ひとつで味わいが変わることだろう。
ま、今度会う時に一冊持っていって、その都度話したらいいか、と、思った。
二年前だったかミラノでバルに入ってエスプレッソを飲んでいたら店員の女の子に「ワンパンチって最高だよね」と言われてポカンとしてしまった。どうもそういうマンガがあって彼女はそれを読んでいたらしい。
「知らない」と言うと「知らないの?」と逆にびっくりされてしまった。

そうしているうちにジョバンニたち二人はリスボンに着いて、楽しんでいる様子の写真がメールで次々と送られてきた。
楽しんでね、とそのたびに返信をしている。
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イヨマンテの夜
10/May.2021 [Mon] 8:06
おじさんのところに顔を出したら「この間のど自慢を見てたら凄い少年が出てきたんだよ」と言ってその時に撮ったビデオを見せてくれた。
何を言っているのかわからなかったけれどそのビデオを観て驚いた。少年はまだ中学生になったばかりなのかぶかぶかの学生服を着ている。声が小鳥のように高くて可愛らしい。
その子がマイクを握ると急に低い太い声になって「イヨマンテ〜」と歌い出したのでびっくりした。
ものすごい声量で歌を歌い出した。
後ろで聞いている氷川きよしの顔が呆気に取られて口が開いてしまっている。
凄いなぁと思っているうちに鐘が鳴り合格となった。
アナウンサーからのインタビューで少年はこの歌をおじいちゃんから習った、将来は歌手になりたいのだと言った。
「おじいちゃんに一言なにか?」と、言われて
「おじいちゃんやったよ」と言う仕草が可愛らしい。
親戚のおじさんはこれを見て涙ぐんでいる。
歳を取って涙もろくなったんだろう。でもそのくらい人を揺さぶる力のある子だった。
北島三郎もこののど自慢で優勝したことがきっかけで歌手になったのだそうだ。
凄いなぁ、こういう子がいるんだ
なぁと思いながらおじさんとビールを飲んだ。
「イヨマンテ〜」とその少年の真似をするとおじさんは手を叩いて喜んていた。
うーんびっくりした。
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キクラゲの採れる山
07/Apr.2021 [Wed] 14:18
山を歩いている時に枯れ木に何か生えているので、あれ? と思った。
ビロードのような産毛が光を浴びてそれが眼に飛び込んできた。前日は久しぶりに雨が降ったせいか、その光るものは夕陽の中で輝いていた。
「あれ、キクラゲじゃないかな?」
と妻に言うと妻は立ち止まってそれをじっくり見つめて
「そうだ、キクラゲだ、よくわかったね」
と言いながら背伸びをしてそのキクラゲを採った。
冬は乾燥して縮んでいたものが雨が降ってぶりぶりしている。
それを片手に余るくらい取って帰った。
アーサイというシャリシャリ感の強い野菜があったのでそれと一緒に炒めてみると、美味い。
まさしくキクラゲで、いや、びっくりした。
こんなものが生えているなんて、素晴らしい山じゃないか、と妻と喜んだ。
よっちゃんは蜜柑やふきのとうをくれるし、歩いていれば食べるものも見つかるし、なんと素晴らしいことか、と思った。
また日本むかし話のようになってしまった。
でも本当にこの半年は、ムカゴから始まって山の恵みをずいぶん貰った。
ムカゴご飯も美味しかったし、よっちゃんとも知り合いになれたし、さらにキクラゲまでいただいて、ありがたいことだと思った。
本当にありがたいことだと思った。
山の神様これからもどうぞよろしくお願いします、と山に向かって手を合わせた。
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知らないうちに季節が巡る。
29/Mar.2021 [Mon] 14:17
阪本さんのところに鍼の治療に出かけた帰りに庭に出ると木の枝に蕾がたくさん付いているのが見えた。
蕾にはベルベットのような小さな細かい毛が生えていて、指先でそっとなぞると気持ちが良さそうだった。
その横にはもう桜の花が咲いていて、
「いつの間に?」
と思った。
今日はまたひどく冷え込んで風も吹き荒れているけれど
そんな中でも春が近づいているんだ。
木のつぼみも本当に可愛らしくて、嬉しくなった。
ゆっくりと土の道を踏みしめて、車まで戻った。
鍼の治療ももう二十年近くしている。
その間に何度もここを歩いているはずなのに
小さな発見が無数にあって驚かされる。
こんなつぼみがあったことも今日初めて知ったのである。
ぼくの知らないことはまだ世の中にたくさんあって
きっと知らないまま、一日を過ごしているんだろう。
その間にも木の芽がふくらんで、春が近づいてきているんだ。
なんてすごいことなんだろう。
生きている自体がすごいことなのに、こうして地球は回って春がまたやってきている。
なんてすごいことだろう、と馬鹿みたいに何度も思いながら工場まで戻った。
(三月初めに書きましたが掲載が遅くなりました)
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鳥たちの囀り。
22/Feb.2021 [Mon] 14:16
裏山に歩きに出かけるとウグイスが鳴いていることに気がついた。
今までは「ぺちょ」っという風に鳴いていたのに春の温かさを感じたのか
「ホーホケキョ」
という風に鳴き出した。
それがあちこちで聞こえるので嬉しくなった。
一緒に歩いている妻は鳥が鳴くと
「あれは何の鳥?」
とぼくに聞く。
ぼくが知っている鳥の声はウグイス、ヒヨドリ、メジロ、ホトトギスの四種類だけだ。
このうちウグイスとメジロは冬に鳴く声と春になってからの鳴き声が変わることも何となく知った。
でもそれも本当かどうか、調べたわけでもないので自分だけの思い込みかもしれない。
今日はまた違った声の鳥の鳴き声が聞こえた。
「ヤマケイのアプリを買おうかな? でも高いんだよ」
と妻が言った。
そのアプリは山と渓谷社の出しているもので
鳥の画像と鳴き声も入っているのだそうだ。
昔ぼくの母親が持っていた鳥類図鑑というものに
カセットテープも付いていて、それで鳥の声も聞くことができたけれどもうどこに行ったのか、わからなくなってしまった。
母も鳥が好きで、鳥の声を聞くとどんな鳥なのか知りたかったのだと思った。
もともとラジオのアナウンサーをしていたので音に興味があったのかもしれない。
山の中で目を瞑り耳を澄ますと色々な音や声が聞こえてきて嬉しくなる。
春がもうそこまできていて、それが鳥の囀りでも手に取るようにわかる。
春だ春だ、と心の中で思った。
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おでんの具になってみた。
19/Feb.2021 [Fri] 14:10
リエさんがお風呂に入れる新作をくれた。
なんと「大根の葉っぱ」を乾燥させて袋に詰めたものだそうだ。
「おでんになったつもりで入ってくださいね」
とリエさんは笑いながら言っている。
どう答えて良いのかわからなくて絶句してしまった。
うちでは大根の葉っぱはお味噌汁の中やお昼に食べる野菜スープに入れて食べるので、こういう使い方があることにまず驚いた。
リエさんはお風呂に入れる入浴剤の研究に余念がなく、それを自分で売っているので、さまざまな素材を試しているのかもしれない。
それで大根の葉っぱというものを試したらしかった。
早速、夕方に家に帰って、お風呂を沸かして、その袋を入れてみた。
匂いがすごい。たしかおでんだ、と思った。
お風呂というより、これは料理の鍋の中である。気持ちが落ち着かないのでリラックスできないほどすごい匂いだった。
妻にも不評で「あれはちょっと」と言われた。
温まることに関しては汗がすぐに出てくる優れものである。
でも、やっぱり匂いが凄すぎて、うーん、と思った。
リエさんは研究熱心なので次は何が来るか楽しみである。
もっとすごいものが来るのかどうか、来たらまた実験が始まることになる。みなさんも是非試してみてくださいよ。大根の葉っぱのお風呂。すごいぞ。汗もどんどん出るのでデトックスにはもってこいの入浴剤だ。
世の中には色々な楽しみがあるものだなぁ、と、思った。
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よっちゃん再び。
11/Feb.2021 [Thu] 22:30
山の中を歩いていると、よっちゃんがまたスルスルっと車できて
「こんなもの食う?」
と言いながらポケットから緑色の木の芽のようなものを出して見せてくれた。
ふきのとうで「あっ大好き」と言うと「じゃあこれから畑に行って採って来るから、ちょっと待ってて」と言われた。
「去年の日記を見たら今くらいに採れたから、もう時期じゃないかな? と思って」とボソボソした声で言った。
よっちゃんは日記をつけているんだと思うと嬉しくなった。
季節のものを食べるのは本当に嬉しい。苦味が身体に効いて冬に溜まった悪いものが出てゆく。
「じゃあ車の前で待っててな、すぐにいくからよ」と言われた。
よっちゃん(かどうかも知らないけれど、とにかくよっちゃん)は優しい。なぜぼくに優しくしてくれるのか、本当にありがたい気持ちで胸が一杯になる。
それで歩いた後で猿に威嚇されながら待っているとよっちゃんが来て紅いおしゃれなジャケットのポケットの中からもう手品のようにいくらでもふきのとうを出してくれた。
最後には100円ライターまで出てきて一緒に、笑った。
夜にそのいただいたふきのとうを焼いて食べた。苦味が効いて美味しかった。
味噌の和え物も妻が作ってくれてこれも美味しかった。
その晩、寝ていてシャツが濡れるほど汗をかいた。
今日はよっちゃん(かどうかわからないけど)ありがとうございます、本当にありがとうございます、と山に向かって手を合わせた。何しろどこに向かって手を合わせれば良いのか、家も知らないのである。それで神さまに向き合うようにとにかく手を合わせた。
みぞれが降って、手が痺れるように冷たかった。
でも心はありがたい気持ちで一杯になった。
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よっちゃんと夏みかん。
27/Jan.2021 [Wed] 14:16
よっちゃんが夏みかんをくれた。
本当はその人がよっちゃんというのかどうかも知らない。
昨年の夏の夕方に汗をかきながら山の中を歩いていると、車がスルスルっと寄ってきて、「タニグチさん? エイキュウさん?」と聞かれた。
島の中では名前で呼ばれることが多く、「ヒデ」とか「ひでぼ」とか呼ばれることが多い。
それをわざわざ作家ネームで呼ばれるとものすごく恥ずかしい気持ちになる。
焼酎工場のある場所は生まれ育った地元ではないので、その村の人のことはほとんど知らない。
「俺はタケシと同級生なの」と言われてそれから親しく話すようになった。タケシはぼくの歳上の従兄弟である。
以来、よっちゃんが車で通りかかると必ず車を停めて話しかけてくれるのだ。
ある日は妻とムカゴを採っているところによっちゃん(と思われる人)が通り掛かって「何してんの?」と、聞かれた。これこれこういうわけで「もう少しムカゴが採れるとムカゴご飯が炊ける」ことを話すと「へえ」と言った。
翌日になって「ほれ」と言われてビニール袋を手渡された。ムカゴがたくさん入っていて、それをくれると言う。
なんて優しい人なんだろう、我々にとっては神様のような人だと、思った。
焼酎の仕込みの麦を運びながらその話を手伝ってくれているヒトフさんに話すと「それはよっちゃんかな?」と言ったので、以来我々はその人をよっちゃんと、密かに呼んでいる。
昨日はそのよっちゃんに何か御礼をしたいと思って飴を持ってきた。なにしろよっちゃんがどこに住んでいるのかも知らない。山の中で会うだけなのだ。だからよっちゃんが通りかかったらその時に飴を渡そうと思って持ち歩いていたのである。飴の袋は結構重くて
しかしそういう時にはよっちゃんは来ない。そんな日が二日ほど続いて、とうとうよっちゃんに会えた。すると飴を渡すより先に夏みかんをくれると言う。
畑でたくさん出来るので、猿やカラスにつつかれないうちに採ったのだそうだ。
蜜柑は大好きで、家に帰ってからまず蜜柑を食べるのが近頃の習慣になった。めまいがして気持ち悪くても蜜柑なら食べられるからだ。ちょうど蜜柑が無くなって買いに行かなきゃと思っていたところなのでものすごくありがたかった。それで飴を渡すとよっちゃんは喜んで、さらに蜜柑をくれた。この蜜柑は農薬も使っていないので、皮は干してお風呂に入る時にも使っている。これがじんわり温まって良い心地である。
なんとありがたいことだろうか。
よっちゃんかどうか、いつも名前を聞きそびれてしまうけれど、ありがたい気持ちで山の中を歩く。よっちゃんいつもありがとう、とよっちゃんかどうかわからない人のことを想いながらこれを書いている。
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お魚さんありがとう。
23/Jan.2021 [Sat] 10:06
熱帯魚が好きで家には小さな水槽がある。
結婚した当時に買ったもので
今でもそれを使っている。
今飼っているのはグッピーでこれがやたらと増える。
見ると小さな小さな稚魚が生まれていて
「また産まれているよ」
と妻に報告するのが日課のようになってしまった。
小さな水槽なので、こんなに生まれて大丈夫なんだろうか
と心配になるけれど、大丈夫らしい。
朝起きてゆくと、もう本当に魚の群れが水面で塊になって蠢いているように見える。
餌が欲しいと言っているのだ。
それで餌をあげると、今度は水草に生えた苔を食べ始める。
それを見た妻が
「餌あげなよ」
と言うので困ってしまう。
今あげたばかりなのに、どうしてお前たちはそんなにがっついているんだ? と思ってしまう。
水草も元気で、植えてから枯れもせず何年もそのままになっている。稚魚が多いので、掃除も出来ないのだ。
でも飼っているものが元気で活きいきしているのを見るのはありがたいことだ。
犬も可愛かったけれど、魚だって可愛い。犬は嘘もついたけど魚は嘘もつかないし、文句も言わない。そのかわりきちんと見ていないと何も言わずに死んでしまうので責任重大である。
生まれてくる稚魚がどんな色をしているのかを眺めるのも楽しみだ。近頃産まれたものは尾ひれの部分だけオレンジ色であとはグレー。これが綺麗でびっくりした。
寒くなってきたのでヒーターを入れて水温を上げた。この間まで暑くて水温を下げるのに苦労をしていたのになぁ。お魚さんありがとう。
いつも元気でありがとう。
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