日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
焼酎も好きです。ビールも好きです。3
26/May.2020 [Tue] 15:52
ビール会社の朝は早く、五時くらいからみんな来て
働いているらしい。
しかし、その家から歩いて工場まで行くのには
40分は掛かる。
4時半だとまだ外も暗い。
それで、6時半ごろに工場に着くように、家を出る習慣がついた。
五月だというのに朝はまだ寒く、
道路には耳の大きな犬のような動物がうろうろしていた。
なんだろう? と思って近づくと逃げてゆく。
あとでそれがコヨーテだということがわかった。
子供が襲われたりもするので油断はならないのだそうだ。
一月ほど、その工場に通った。
色々なことを年下の人たちに教わった。
マネージャーも歳下だったけれど、真面目な人で
尊敬できる人物だった。
「お前のおじいさんは110年前にシアトルでソーダを作っていたけれど
今はお前がここでビールを作っているんだな」
と働いているみんなに嬉しそうに言われた。
その会社も今回のコロナウィルスの騒動で
とうとう破産宣告をして、会社を身売りすることになったのだ
とマネージャーからメールをもらった。
あんなに良いものを造っている会社が破産宣告をするなんて信じられないけれど
しかし、それが現実なんだ。
すぐにでも飛んで駆け付けたいところだけれど
今は何もできない。
社長にも可愛がってもらって、夕食をご馳走になったこともあった。
寂しいことである。
その話を聞いて泣きそうになった。
現実はとても厳しい。
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焼酎も好きです。ビールも好きです。2
23/May.2020 [Sat] 13:26
その会社の近所には適当なホテルもなく、
人の家の一部屋を間借りして過ごす方法が一番良い、
ということになり、そこから歩いて通った。
しかし、これがなかなか大変で
なにしろ人の家だし、その家族とも常に顔を合わせる。
その都度コンタクトを取らなければいけない。
でもまあ、それはそれ。
一緒にご飯を食べたり、週末には
その家族の友達が来てパーティーをするので
一緒に飲もう、ということにもなった。
そこで近所のスーパーから生牡蠣を買ってきて
それをナイフでこじ開けて、彼らと一緒に食べた。
犬がいて、夕方の散歩は僕が引き受けた。
犬とはずいぶん仲良くなった。
そんなこともあって、その家族ともずいぶん打ち解けた。
(つづく)
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子持ちカレイを焼いて食べた。
16/May.2020 [Sat] 9:03
新島のM原さんが港に居酒屋を出店した。
夢の中の話である。
M原さんは新鮮な魚を活きたまま発泡スチロールに
入れてそれを店の前に並べてある。
客はそれを選んで料理をしてもらうシステムらしい。
魚はまだピチピチ跳ねて活きが良い。
「もう今日は終わりだからこれなんか安くしておきますよ」
M原さんにそう言われて子持ちカレイを一匹勧められた。
焼くと美味しいのだそうだ。
うーん、こんなに活きが良いのに焼いちゃうの?
と思ったけれど、美味しそうなのでそれを頼んだ。
M原さんは焼酎の蔵元で、その仕事はどうしているのか?
訊いてみると、昼間は焼酎を造って
夕方からこの仕事をしているという。
「タニグチさんもどうですか?
とりあえず喰えますよ」
とM原さんは嬉しそうな顔をして言った。
しかし自分は今元気がないし
それに夕方から二つ目の仕事を始めたら
寝る時間も無くなってしまう。
「うーん、俺は今は無理かな・・・」
と答えた。
とりあえず子持ちカレイを焼いてもらって
あとはお刺身も頼んだ。
M原さんは長い包丁を操って、刺身を盛り合わせにしてくれた。
「大したもんだねえ」
と言うと
「いやいや、まあ」
と言いながら焼酎のソーダ割りを
「じゃ、かんぱーい」
とグラスを高く挙げてグビッと勢いよく飲んだ。
白い長いゴム挽きの前掛けと、白い長靴、
頭にはタオルの鉢巻きも締めている。それがよく似合っていた。
目が覚めてから
「ああ、何かおいしいものが食べたいんだなあ」
と自分のことを想った。
あとは仕事のことを心配しているんだろう。
酒造組合の仲間も焼酎が売れなくて
みんな大変そうだ。
もちろんうちだって売れない。
今はこんな時期だし、そういう心配事が夢に出てきたんだ。
M原さんは救いの神だろう。
いつも元気で、組合のみんなを引っ張ってくれる。
子持ちカレイ、美味しそうだったなあ。
あれはお醤油ではなくて
阪本さんの塩をかけて食べたい、と思った。
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そうじゃないよ、と言ってくれる人がいること。
13/May.2020 [Wed] 17:17
自分の身の回りの環境を整えることは
大切だといつも思う。
ぼくは周りに流されやすい方なので
とにかく悪いと思われるものには
近づかないことにしている。
あとは良いもの、高みに近づけるものを
身の回りに置きたい。
良い本があれば読みたいし
人でも「これは」と思う人には
なるべく会いたい。
けれども、そういう人は世の中にそういるわけでもなく
だからまあ、静かに人里離れた工場で過ごしている。
ここに居れば誰も来ないし、
誰かに干渉されることもない。
住んでいる家の周りは昨年の台風でほとんどが倒壊して
取り壊されてしまった。
もう村としての機能はなく、
あんなにいた人たちも、いなくなってしまった。
台風が来ると、とにかく凄いことになるし
どこかに越した方がいいのだろう。
越さざるを得なくなった、という方が正しい。
自分はかろうじてまだここに家が残っているので
住んでいる、ということだ。
不思議なことだなあ、と思う。
五メートルも離れていない隣の家が倒壊して
自分の住んでいる家は残った。
残ったと言っても、かなりのダメージを受けて
屋根はまだビニールシートを張ったままだ。
それでもなんとか雨漏りもせず暮らしている。
そこに何の違いがあるのかは、わからない。
運が良い、悪いの話なんだろうか? と考えるけどわからない。
とにかく住めるのだから、住むしかない。
子供の頃、血の繋がっていない、けれども親戚になる
お寺の伯父さんがいてその人にずいぶん可愛がってもらった。
母が病弱だったこともあり、そのお寺で育てられた。
その伯父さんはもうなくなってしまったけれど
一人で過ごしていると、ときどきその伯父の気配を感じることがある。
怖くはなくて、逆に嬉しい気持ちになる。
おじさんに見守ってもらえるのならこんなに嬉しいことはない。
そういう人に幼少の頃出会うことが出来て
ありがたかった、と思う。
そういう人に巡り会えたことで
今の自分があるのだろう。
ちょっと道を外れると
「そうじゃないよ」
と言ってくれる人がいること。
それが大切だ。
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胃から断られる。
07/May.2020 [Thu] 14:47
なっちゃんが赤ちゃんをおぶって手作りのスコーンを
持ってきてくれた。
犬のテツを預かってくれたあのなっちゃんだ。
当時は高校生だったのに、今では結婚をして
赤ちゃんも生まれた。
それでお祝いを贈った御礼に、手作りのスコーンを
持ってきてくれる、という。
いやあ、そんな、わざわざ申し訳ないよ、と思ったけれど
でもなっちゃんのスコーンは美味しい。
無農薬の小麦粉を使って、焼き締めてあって
これなら安心して食べられる。
胃が気持ち悪くなってからは、とにかく食べるものが厳選されて
きて、少しでも何か入っていると、気持ち悪くなって吐いてしまう。
このあいだは
「美味しいお菓子があるから」
と送ってもらったお菓子を食べたら、後でムカムカしてきて
苦しんだ。
内容物をみると、添加物が色々入っている。
今は胃がピュアになってきて、とにかく変なものを入れたがらないらしい。
東京に出かけても、(今は出かけられないけど)
駅前の美味しそうなパン屋さんでパンを買って
食べると、舌がすぐに割れてくる。
小麦粉が良くないのだろう。
焼酎も何か混ぜ物が入っていると、すぐに気持ち悪くなる。
胃が受け付けないんだ。
こういうものが世の中には溢れているけれど
胃が麻痺して、わからなくなってしまうと、
胃がんやポリープも出来てくるのかもしれない。
基準は自分の胃で、口や頭で美味しそうだと考えて食べても
「私は受け付けませんから」
と胃がはっきり意思表示をしているらしい。
なっちゃんの赤ちゃんは、お母さんの背中でぐっすり眠っていた。
安心しきって眠る顔が可愛いかったなあ。おんぶという姿も久しぶりに見て嬉しくなった。
時はどんどん過ぎてゆく。
その時、その時で色々なことが目の前に生じてくる。
それを楽しむしかない。
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逃げなくてもいいよ。
27/Dec.2018 [Thu] 17:22
工場から出てくると、カラスが一羽、水桶のふちに降り立った。
羽根の音がバサッとして、
振り向くとすぐそばにそのカラスがいた。
こいつにはいつも話しかけている。
近くに来ると、
「おい? 元気か?」
と声を掛ける。
逃げる素振りを見せると
「逃げなくても良いよ。今日はどんなだった?」
と声を掛ける。
けっこう大きな声で、人が見たらあいつ誰に喋っているんだろう?
と思われることだろう。
カラスはそのあいだ首を傾げて、ぼくの声を聞いているらしい。
逃げないどころか、一歩寄って来たりもする。
それで今日は、工場から出てくると、どこで待っていたのか
ぼくのそばまで飛んできてくれた、というわけだった。
カラスは殺気に敏感で、
(この野郎)
と思っただけで、すぐに逃げる。
逆に
(逃げなくても良いよ、何にもしないから)
という平穏な心でいれば、逃げない。
それで声を掛けていたら、近くまで寄ってきてくれた。
嬉しいなあ。
おまえさんと友達になれたら、きっと楽しいことだろう。
人間は悪い人もいるけれど、動物は悪い目をしない。
鋭い眼と悪い眼はちがう。
悪意のない動物と一緒にいると、自分も楽しくなる。
明日はもっと近くまで来てくれたら良いなあ。
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つぼに入ってしまったんですね。
19/Nov.2018 [Mon] 17:03
お風呂を沸かすと、地響きのような音がして
ボイラーが点いたり消えたりを繰り返している。
そこで、その会社に電話をしてみると
丁寧なお姉さんが出て、対応をしてくれた。
この会社は大島にはないので
東京の練馬営業所まで電話をすることになっている。
「ボイラーを点けると異音がするんですよ。
あっ、今とうとうエラーになってしまいました」
ぼくはそう言って窓を開けた。
ギイーっ、という音がした。
お姉さんはその音に反応して
「今の音がそのボイラーの音ですか?」
と言った。
「いいえ、今のは窓の音です」
ぼくがそう言うとお姉さんは可笑しそうに
「ハハハ」
と笑った。
ぼくはお風呂が沸かないと困るのだけれど
やっぱり笑った。
お姉さんはつぼに入ってしまったのか
それからしばらく笑っていた。

「そのエラー番号だと、給油に問題があるようですね。
灯油はタンクに入っていますか?」
お姉さんはハキハキとした感じの良い喋り方でそう言った。
感じが良いだけではなくて、聞いていると楽しくなるような喋り方なので
いつもこの人の声を聞くとぼくは感心してしまう。
どこかで訓練もしたのかもしれないけれど
自分でも喋ることに関心があって工夫しているのかもしれない。
「灯油は入っていますね」
ぼくは開けた窓を閉めて、そう言った。
またギュルるる、という音がした。
お姉さんは今度は何も言わなかったけれど
笑いをこらえているらしい気配が電話の向こうから伝わってきた。
しばらく沈黙が続いた。
結局、原因はすぐにはわからないということで
修理担当の人が電話をくれることになった。
それだけのことだけれど、このことが忘れられなくて
ずっと覚えている。

それから二週間経って、結局ボイラーが点かなくなってしまったので
修理の人が東京から来てくれることになった。
それでその人に営業所のお姉さんの喋り方がすごく感じが良いのは
どうしてなんだろう? ということを聞いてみた。
するとグループ全体で受付対応のコンテストがあり
(もちろん研修もあるという)
そのために自分でも努力しているのではないか?
ということだった。
そうか、そういうことだったんだ。
笑っても心の底から楽しそうに笑うので、聞いているこっちも
楽しい気分になったのだ。
この人の喋り方がどんなに素晴らしいか、これを読んでいる人にも
聞いて欲しいものだけれど、まあそういうわけにもいかない。
でも、こうして日々自分の仕事に磨きをかけている人というのが
本当にいるということが嬉しくなった。
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やすらぎの場所でつぶやく。
10/Oct.2018 [Wed] 17:59
「お風呂場に植物を置いたら、雰囲気がもっと良くなるよ」
と妻が言った。
何を置くつもりなのか訊いてみると
今まで部屋の窓辺に置いてあった蘭の鉢植えだという。
工場の裏でひっそり生きていた蘭の葉を移植して
家の窓辺に持ってきたのだ。
(じゃあ、やってみようよ)ということになって
その蘭の鉢植えを二つ、お風呂場の窓辺に置いてみた。
おおー、良い感じじゃん。
「ほらね、わたしの言ったとおりでしょ?」 と妻は得意げに言った。
確かに、窓辺に緑があると、グッと雰囲気が良くなる。
無機質なお風呂場が、その鉢植えを置くことで安らぎの場所に変わったよう
に思えた。
それで毎日、お風呂を沸かす前に、この蘭の葉に水を掛けて、
撫でてみることにした。
すると、新しい芽が急に出てきてそれがどんどん伸び始めた。
新しい葉は新緑の色をして、活き活きとしている。
今まで部屋の窓辺に置いてあったときは、こんなに芽吹いたことは
一度もなかったので、驚いてしまった。
「そりゃそうだよ。撫でると植物は喜ぶからね」
妻は植物が好きで、小さな庭に色々な花や葉を植えては
楽しんでいる。
工場の裏にも花を植えているけれど、手伝いに来てくれるタケシ君が
知らずにその葉を刈ってしまうので、今度は家にそれをせっせと移しているらしい。
とにかく、蘭の葉はどんどん芽吹いてきて、それが今、ぼくにとっても
嬉しいことになった。
お湯に浸かりながら、この鉢植えを眺めていると
古い親しい友人と語り合うような、ゆっくりした気持ちになる。
緑がたくさんある家って、いいなあ。
素晴らしいことだよなあ、と思った。
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夏の思い出と入道雲。
14/Sep.2018 [Fri] 8:17
えーとですね、なにかを書こうと思っていたわけですけど
忘れてしまったので、どうしたものか、と考えているわけです。
このあいだは、藤森照信さんが設計した秋野不矩美術館の
二十周年記念の式典があって、浜松まで出かけてきました。
暑い盛りのころで、前日に熱海から浜松まで出て、友人のところに
顔を出しました。
友人は古い車をレストアする仕事をしていて、どうしてこの人と友達に
なったのか? というと,この人は藤森建築ファンで、どうしても自宅兼店舗を藤森さんに造ってもらいたいと思っていた。それで、藤森さんとコンタクトを取りたいと思っていたそうなんですね。
しかし、藤森さんは、もう雲の上のような存在になってしまって、設計をお願いしても、そう簡単に「ほいきた」と受けてくれない。
まあそんな困難をものともせず、手紙を何度も書いて、とうとう設計をお願いし、店舗と自宅を建てた、という人なんです。
しかも素朴な誠実な人柄で、一度その店舗を建てるときに手伝いに行ったのをきっかけにして、ものすごく仲良くなってしまった。
一緒にご飯を食べて、話しているだけで、楽しい。
仕事の話も楽しいし、悩みごとなんかを聞いているのも楽しいわけです。
不思議なものですよね。
だって今までぜんぜん知らなかった間柄なのに、何時間も一緒にいて
話が尽きない、というようなことがあるのかって、あるんです。
それで夕方になってしまったので、そろそろお暇(いとま)をしようとしたら
「掛川に行くなら、天竜浜名湖鉄道っていう、一両の風情のある鉄道がありますよ」って教えてくれて、その駅まで送ってくれたわけなんです。
無人の、切符も売っていない、という鉄道で、その友人一家に見送られて
掛川までの道のりをトコトコ、小さな電車に乗って走っていくわけですが
これがまた良いんですね。
一緒に電車に乗ったおばあさんとちょっと話したら、おばあさんは温泉に浸かりに毎日、この電車に乗って、出かけてくる、ということ。
へえー、良いですね。うらやましい、と言いながら、
どんどん小さくなってゆく友人たちに手を振って
電車が走り始めました。
掛川には親戚がいるので、今日はそこに泊めてもらって、しかし、それにしても夕暮れの中をゆっくりとした速度で走りぬけながら、田んぼのあぜ道をおばあさんと犬が散歩しているのを眺めたり、案山子が立っていたり、電車の窓すれすれまで樹の葉っぱが伸びてきていたり。
ああ、いいなあ、なんて良いんだろう。
来て良かった。
そう思う一日でした。
明日になればその友人一家も式典に来るので、また会えるけれど
やっぱり式典になると忙しいし、色々な知り合いも来るからなかなかゆっくりは話せないし、まあ、今日来て、本当に良かった、と夕暮れの中を電車に揺られて思ったのでした。
思い出しましたよ、今日書きたかった話は、お風呂場に緑を置いたらどうだろう? と妻が言い出して、蘭の鉢植えを置いてみたんです。
急に思い出したけど、まあ、そのはなしはいずれまた。
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停電の日に。
29/Jun.2018 [Fri] 17:08
水道の蛇口をひねったら水が出ないので、あれれ? と思った。
モーターが壊れたのかと思ったけれど、電気全体が消えているので
ブレーカーが落ちたのだろう、と思いなおした。
電気製品を使いすぎると、ブレーカーのスイッチが落ちて
工場全体の電気を遮断するようになっている。
200ボルトの電源を使っているために
器械の具合でこうなることがたまにあるからだった。
けれども、ブレーカーのスイッチは落ちてはおらず
(おかしいなあ?)と思った。
これから瓶詰めをするので、とにかく電気が入らないことには
仕事にならない。
しかし、どうなってしまったのか、訳がわからず、しばらく
工場の中の色々なところを点検して歩いた。
うーん、わからない。
まあ、いいや。仕方がないからお茶でも飲もうよ、ということにした。
しかしお湯を出すポットも電源がないと、ボタンを押しても
お湯は出て来ない。
それで、ポットのふたを開けて、お玉でお湯を掬って、急須に入れた。
「お手前~」とモトコさんと言って笑った。
そのうちモトコさんの携帯電話に旦那さんからのメッセージが来て
「停電だけど原因はわからず、復旧の見通したたず」
ということがわかった。
そうなのか。
近頃は電気工事を路上で頻繁に行っている。
そんなこともあって、何か停電の原因になる事故があったのかもしれない。
お茶を飲んでしばらく待ったけれど、電気が来る気配はない。
午前中に瓶詰めを終えて、午後からはラベルを貼ってしまいたいけれど
まあ、仕方がないや。
お昼を食べて、午後一時くらいになれば、電気も復旧するかもしれない。
じゃあ、ずいぶん早いけれどお昼休みにしようよ、ということにして
モトコさんはいったん家に帰ることになった。
妻とぼくは早いお昼を食べて、それから昼寝をした。
なにしろ電気がないし、外は雨で工場の中も真っ暗闇である。
懐中電灯で照らしながら、ご飯を作って、妻ともそもそ食べた。
電話も電気がないと使えないので、注文の電話も入らない。
昼寝をして起きてきても、まだ電気は来なくて
闇の中でぼんやりした。
いいなあ。こんな時間は、滅多にないんだ。
こんなふうに何もすることがなくて、ぼんやりできるなんて
贅沢なことである。
東京電力さん、一体何をしているか、なんて怒っても仕方がない。
そんなことで、闇の中でボーッとした。
停電になってから四時間近く経って、ようやく電気が来た。
良い時間だったなあ。
のんびり過ごせたことで、頭がすっきりした。
たまにこういうことがあると電気のありがたさが身に染みる。
これからはランプも用意しておいてこういうときに備えれば
もっと愉しくなるだろう。
さ、仕事しごと。
モトコさんにメールを出して、瓶詰めに取り掛かった。
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