日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
手を合わせて眼をつむると。
01/May.2017 [Mon] 19:45
母の命日で、夕方、お墓参りに行った。
朝は雨が降ったので、夕方、雨が上がってから
出かけた。
来年はぼくも亡くなった母と同じ歳になる。
母はどんな気持ちだったんだろうか? と
亡くなってから考えたことがあった。
医者に寿命のことを教えられたけれど
それは母には言えなかった。
それでも、自分はもう長くない、ということが
わかっているようで、言葉の端々にそんな気持が表れていた。
何年前だったか、駅前の食堂で一人で食事をしていたときに
後ろ姿が母にそっくりの人を見かけた。
背中の曲がり具合も、生きていたら、このくらいだろうなあ、
という様子でその人を見ながら、いきなり涙が溢れてきた。
涙がとまらなくなって、困ってしまった。
食事も喉を通らないし、人に見られるのも恥ずかしい。
でも、そんなことはおかまいなしに、涙はいくらでも流れてくる。
その女性が席を立つときに顔を見たら
顔はまったく似ていなくて、気が抜けたようにホッとした。
(バカだよな、まったく・・・)と自分のことを笑った。
今日はお墓参りに出かけて、そのことを思い出した。
四月の終わりだというのに、冷えて、風も吹いてきた。
卒塔婆が風に吹かれて独特の乾いた音をたてていた。
眼をつむって手を合わせていると
母の笑顔が胸の中に一杯になった。
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