日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
お風呂に浸かれることの歓び。
20/Dec.2016 [Tue] 17:14
不思議なものだなあ、と思いながらご飯を食べていた。
風呂釜の修理に来てもらった、I澤さんと共に
自宅の食卓でお昼ごはんを食べた。
朝、I澤さんを港まで迎えに行って、そのまま現場にお連れして
風呂釜を修理をしてもらった。
部品を替えれば、それで直ることも判って、
二人でホッとして、ご飯を食べることになったのだ。
おかずは妻があらかじめ作っておいてくれた
大根の煮物と、サトイモの煮付けだった。
味噌汁はI澤さんが修理をしているあいだに
ぼくが作った。
ご飯を温めて、二人で食べたのだった。
そうしてまったく見知らぬ人と自宅の食卓で
ご飯を食べていることに、不思議な感慨を覚えた。
昨日までこんなことになるとは考えてもみなかった。
(修理をしても、部品を替えるだけでは直らない場合も
ありますので、そうなると、風呂釜を全部取り替えることに
なります。その場合は、修理が無駄になります。
またその場合でも東京からの往復の船賃とサービス料金は
別途掛かってしまいますが、よろしいでしょうか?)
とサービスセンターの人に訊かれたのだ。
二日間、考えたけれど、自分で風呂釜を見るかぎり
そこまで傷んでいないだろう、と思った。
それで
(まあダメでも仕方ないや)
と思って、修理の人に来てもらうように連絡を取った。
お昼はどこかで勝手に食べてもらってもいいけれど
近所には食べるところがないし、ぼくも焼酎の仕込みは休んだので
それならご飯を一緒に食べよう、と言うことになったのだった。
I澤さんは若くて、まだ二十代に見える。
ご飯はいつも外食なんですか? と訊くと、もう三十三歳で
お子さんも二人いるのだそうだ。
「そうなんですか? そんなふうには見えないなあ」
と話して、それから世間話に花が咲いた。
ボタンひとつで、こうしてお風呂にお湯をためることが
できるなんて、どんなに素晴らしいことか、と
ぼくは言った。
若い人にはつまらない話だろうと思ったら
「子供たちにもそういうことを知って欲しいので
なるべくキャンプとかに出かけて、焚き火からお湯を
沸かしたりしているんですよ」
と相槌を打ってくれた。
修理が一通り終わったあとで伝票を食卓で書きながら
「こんなふうに伺ったお宅の中で伝票を書くなんて初めてですよ」
とI澤さんは言った。
ふだんは外で、伝票を書くのだそうだ。
風呂釜はたいてい屋外に設置してあるので
冬の作業は大変だろうなあ、と思った。

「実は来週も大島に修理に来るんですよ」
とI澤さんは帰りの車の中で言った。
立て続けに二軒、修理の依頼が入ったという。
「なーんだ、それなら一緒に見てもらえば、良かったね」
とぼくは言った。
やはり大島でもこの風呂釜を使っている人もいるんだなあ、
ということがわかった。
今日、風呂釜を開けて、さらに部品を取り替えておいたほうが
いいところが見つかったので、
「それなら来週もう一度来たときに、あそこの部分を取り替えてくださいよ」
とお願いした。
時間が余ったので、蔵に寄って、焼酎の試飲をしてもらった。
焼酎が好きなのだそうだ。
「うまい。これ本当にうまいっす」
I澤さんの嬉しそうな笑顔を見て、修理に来てもらってよかったなあ
と思った。
今日からまた自宅の風呂に浸かれるんだ、と思うと
ホッとしたような嬉しさが身体の奥底からじわじわと
湧いてくるのがわかった。
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