日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
平和ということ。
22/Apr.2021 [Thu] 22:37
この五年の間、ミャンマーに何度か出かけた。ミャンマーの多くの地域が旅行者に開放されたことで比較的自由に旅ができるようになったからだ。
何度か出かけるうちに少しずつ知り合いも出来て、インレイ湖という湖のほとりにある街で友達ができた。
いつも泊まるホテルのフロントで働いている女の子で英語が話せるカンモンという子だった。
いつも唇を噛み締めるようにして働いていて、その顔を見ると手を合わせたくなる。
真摯で真剣な様子が見ているこちらにも伝わってきて、我々夫婦はカンモンのファンになった。
ホテルといっても安普請で何年かするうちに近所には立派なホテルが立ち並ぶようになった。値段も大して変わらないので綺麗なホテルに泊まれば良いのだけれど、カンモンがいるので、我々は頑なにそのホテルに泊まった。停電やらお湯が出ないこともしょっちゅうあるけれど、カンモンの顔を見ると仏さまのお顔を拝むような気持ちにいつもさせられた。
四度目に出かけた時に「うちに遊びに来てください」と言われて、カンモンが休みの日に彼女の家まで出かけた。
親戚が三軒同じ敷地内にそれぞれ家を建てて住んでいるという。
遊びに行くとその親戚の人たちがみんな出てきて大歓迎を受けた。
カンモンは五人兄弟の末っ子で家ではご両親に可愛がられて暮らしている様子が見てとれた。カンモンではなく「モン」と呼ばれていて、その呼びかたにも愛らしいものを感じた。
すべてが自給自足で畑で採れる花を市場で売ってお金を得ているらしい。
家の中は必要なものしかなく、質素だけれど美しい生活だと思った。
お母さんはぼくと同い年で、そうか自分にも子供がいればモンは娘くらいの年齢になるのか、と思った。家族の写真を撮って、それを次に出かけた時に額に入れてプレゼントするとお母さんは大そう喜んでくれた。自分や家族の写真を見るのは生まれて初めてのことなんだとモンが教えてくれた。
翌日、モンは一日ホテルの休みを取って、我々夫婦と共にボートに乗って遠くのお寺まで出かけた。
初めて会ってからもう四年も経ったんだね、とモンと話した。
ホテルを出る日の朝には、働いている人たち全員が集まってくれて、見送りを受けた。
モンは休みだったのにもかかわらず、ホテルの外で待っていてくれて、みんなで一緒に記念撮影をした。
迎えに来たタクシーに乗って窓の外を見ると、モンが一人でホテルの前に佇んで泣いているのが見えた。降りていってもう一度挨拶をしたかったけれど、タクシーは動きはじめて、車の中からからモンに手を振った。
今、ミャンマーは大変なことになって、あの静かな人たちが軍に向かって抗議のデモをしているという。モンもそのデモに参加しているだろうか、軍に発砲されて死者も多く出ていて、そのニュースを見ると心が痛む。
あの時、タクシーから降りてモンにもう一度挨拶をしておけば良かったと後悔している。
どうかまた平和な時が訪れて、みんなに会いたいものだと心から願っている。
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コメント
こんばんは。今宵は満月です。
ミャンマーでも同じ月が見れるのですよね。
またモンさんに逢えるようにお願いしました。
平和になりますように。
ユキミ : URL : 27/Apr.2021 [Tue] 20:48 : fAadlbRw : PAGE UP↑↑↑
ユキミさんこんばんは。
今日はピンクムーンですね。
お月様にお願いしてくださってありがとうございます。涙がでますね。カンモンがそしてミャンマーの人たちが元気で無事でありますように。
一円大王 : URL : 27/Apr.2021 [Tue] 22:04 : CIYEH7Xg : PAGE UP↑↑↑
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