日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
祖父の五十回忌。
29/Jun.2022 [Wed] 14:14
祖父の五十回忌の法要をした。
仰々しい言い方になってしまったけれど、祖父が亡くなってから五十年が経ったのである。
お坊さんに言わせると五十回忌の法要をするというのは、なかなか出来るものではないということ。
そうだろうなあ、と思う。
祖父の娘である二人の伯母が「どうしてもやりたい」ということで、日曜日にお寺で拝んで貰ったのだ。
といってもまだコロナ禍で集まったのは近隣にいる親戚のみ。
伯母さんは96歳と90歳。
この二人がとにかく元気で、この五十回忌を目標に頑張って来たという。
見た目には元気だけど、二人とも「とにかくこの法要が済めば安心」なのだそうだ。
祖父は18歳でシアトルに渡り、それから英語を覚え、苦労の末にソーダ会社を設立するも排日運動に遭って会社は倒産。今から約100年前のことだ。
それからまたこの大島に戻ってきた。
祖父がそのままアメリカにいれば、我々子孫も今こうしてお寺で法要をしていないわけで、そう考えると不思議な気持ちになる。
会社が倒産した後、祖父はシアトル郊外の製材所で働いていたらしい。
借金を抱え、木を削る大きな電動ノコギリの中に飛び込んでしまおうと何度も思ったという。
それを90歳になる叔母が話してくれた。
しかしそれを思いとどまったお陰で、今、我々子孫はここで暮らしているというわけだ。
法事が終わって靴を履くと、なんだか変で、見ると靴底が剥がれていた。つま先だけがくっついていてなんとか歩ける、という状態だった。
お墓まで卒塔婆を持っていかなければいけないけど、なかなか難しい。それで足を引きずるようにして進んでいると、従兄弟に「足が痛いの?」と聞かれた。
「いやそうじゃなくて靴が」と言って底が剥がれてしまった革靴を見せると、みんなが大笑いをしている。
久しぶりにこの黒い革靴を履いたので、パッカリ取れてしまったらしい。
「なんだ、靴を買うお金がないのか?」と従兄弟にからかわれた。
すると伯母さんが
「貯金をおろして買ってあげる」と言ってくれた。
伯母さんありがとう。
おじいちゃん、無事に五十回忌の法要も終わりました、と空を見上げた。曇り空にお線香の煙が立ち上って、すぐに見えなくなっていった。
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