日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
トキワ荘を巡るそれぞれの人生
07/Jul.2022 [Thu] 14:09
もう一つ、このテラさんこと寺田ヒロオ氏は漫画を描いている途中で筆を折り、漫画家をやめてしまうのだけれど、それはなぜだったのか「まんが道」に出てきたはずだったけれど忘れてしまった。
でもこれは学芸員の人に聞かないで、自分で調べたほうが良いと思った。
そうだ、寺田氏は漫画に対して真摯な態度で描くことを自分に課していたのだ。
しかし世の中の風潮は刺激の強い漫画が台頭してきて、そのことで頭を悩ませていたらしい。
刺激が強くても子どもに悪影響を与えるものを載せるべきではない、と連載をしている漫画誌の編集長に寺田氏は抗議をしている。
しかしそれが受け入れられるはずもなく、寺田氏は筆を折って漫画を描くことをやめてしまったのだ。
さらにネットで調べてみると、藤子不二雄F氏の撮った8ミリビデオの映像がすぐに出てきた。
もうテラさんが引退してからずいぶん経って、みんなで久しぶりにテラさんのところに遊びに行こうじゃないか、ということになったらしい。
ビデオには藤子不二雄の両氏、石ノ森章太郎、赤塚不二夫の顔もある。テラさんは嬉しそうに始終笑っている。
しかしその翌日に藤子不二雄A氏が御礼の電話をするとテラさんの奥さんが出て、「夫はもうあなたたちには会わないと言っています」と言ったという。
それから一年後にテラさんは亡くなるのだけど、藤子不二雄A氏に言わせると、お酒を毎日浴びるほど飲んでの「緩慢な自殺」だったと言っている。
うーん、テラさんに何があったのか、なんとなく想像はつくけれど、
調べて詳しく書いても面白くはならないだろう。
悲しいことだ、と思った。
テラさんは「トキワ荘の青春」という映画の中でも主人公として描かれている。
この映画も静かな心に沁みる良い映画だった。
とにかくこのトキワ荘が再現されて、忘れていた色々なことを思い出した、というわけである。
テラさんは筆を折ったあと、一人で日本の中を旅して歩いていたという。
愛用していた腕時計には目覚ましの機能がついていて、旅では重宝したのだそうだ。
この時計も「トキワ荘お休み処」に寄贈されて展示してある。
当時は高価なもので、荷物を極力減らしたいために、この時計がどうしても必要だったのだそうだ。
学芸員の女性と話しているうちに、赤塚不二夫がもう一部屋別に借りていた紫雲荘というアパートも近くに現存している話を聞いて、今日はもう時間がないけど、とにかくまた出直して来ることにした。
かつて産経新聞の地方版で「馬込文士村」という連載をしたことがあって、
なんとなくそんなことを思い出した。話を聞いてゆけば行くほど楽しくなってゆく。
作家たちの様々な人生や生き方がそこに埋もれているからだ。
今度はいつ来られるのか、早いうちに再訪したいものだと思いながら帰りの船に乗った。
comments (0) : trackback (x) : PAGE UP↑↑↑
コメント
コメントはありません。
: URL : : : PAGE UP↑↑↑
コメントする









  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
<<<<< 2022,Aug >>>>>