日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
つぼに入ってしまったんですね。
19/Nov.2018 [Mon] 17:03
お風呂を沸かすと、地響きのような音がして
ボイラーが点いたり消えたりを繰り返している。
そこで、その会社に電話をしてみると
丁寧なお姉さんが出て、対応をしてくれた。
この会社は大島にはないので
東京の練馬営業所まで電話をすることになっている。
「ボイラーを点けると異音がするんですよ。
あっ、今とうとうエラーになってしまいました」
ぼくはそう言って窓を開けた。
ギイーっ、という音がした。
お姉さんはその音に反応して
「今の音がそのボイラーの音ですか?」
と言った。
「いいえ、今のは窓の音です」
ぼくがそう言うとお姉さんは可笑しそうに
「ハハハ」
と笑った。
ぼくはお風呂が沸かないと困るのだけれど
やっぱり笑った。
お姉さんはつぼに入ってしまったのか
それからしばらく笑っていた。

「そのエラー番号だと、給油に問題があるようですね。
灯油はタンクに入っていますか?」
お姉さんはハキハキとした感じの良い喋り方でそう言った。
感じが良いだけではなくて、聞いていると楽しくなるような喋り方なので
いつもこの人の声を聞くとぼくは感心してしまう。
どこかで訓練もしたのかもしれないけれど
自分でも喋ることに関心があって工夫しているのかもしれない。
「灯油は入っていますね」
ぼくは開けた窓を閉めて、そう言った。
またギュルるる、という音がした。
お姉さんは今度は何も言わなかったけれど
笑いをこらえているらしい気配が電話の向こうから伝わってきた。
しばらく沈黙が続いた。
結局、原因はすぐにはわからないということで
修理担当の人が電話をくれることになった。
それだけのことだけれど、このことが忘れられなくて
ずっと覚えている。

それから二週間経って、結局ボイラーが点かなくなってしまったので
修理の人が東京から来てくれることになった。
それでその人に営業所のお姉さんの喋り方がすごく感じが良いのは
どうしてなんだろう? ということを聞いてみた。
するとグループ全体で受付対応のコンテストがあり
(もちろん研修もあるという)
そのために自分でも努力しているのではないか?
ということだった。
そうか、そういうことだったんだ。
笑っても心の底から楽しそうに笑うので、聞いているこっちも
楽しい気分になったのだ。
この人の喋り方がどんなに素晴らしいか、これを読んでいる人にも
聞いて欲しいものだけれど、まあそういうわけにもいかない。
でも、こうして日々自分の仕事に磨きをかけている人というのが
本当にいるということが嬉しくなった。
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