日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
よっちゃんと夏みかん。
27/Jan.2021 [Wed] 14:16
よっちゃんが夏みかんをくれた。
本当はその人がよっちゃんというのかどうかも知らない。
昨年の夏の夕方に汗をかきながら山の中を歩いていると、車がスルスルっと寄ってきて、「タニグチさん? エイキュウさん?」と聞かれた。
島の中では名前で呼ばれることが多く、「ヒデ」とか「ひでぼ」とか呼ばれることが多い。
それをわざわざ作家ネームで呼ばれるとものすごく恥ずかしい気持ちになる。
焼酎工場のある場所は生まれ育った地元ではないので、その村の人のことはほとんど知らない。
「俺はタケシと同級生なの」と言われてそれから親しく話すようになった。タケシはぼくの歳上の従兄弟である。
以来、よっちゃんが車で通りかかると必ず車を停めて話しかけてくれるのだ。
ある日は妻とムカゴを採っているところによっちゃん(と思われる人)が通り掛かって「何してんの?」と、聞かれた。これこれこういうわけで「もう少しムカゴが採れるとムカゴご飯が炊ける」ことを話すと「へえ」と言った。
翌日になって「ほれ」と言われてビニール袋を手渡された。ムカゴがたくさん入っていて、それをくれると言う。
なんて優しい人なんだろう、我々にとっては神様のような人だと、思った。
焼酎の仕込みの麦を運びながらその話を手伝ってくれているヒトフさんに話すと「それはよっちゃんかな?」と言ったので、以来我々はその人をよっちゃんと、密かに呼んでいる。
昨日はそのよっちゃんに何か御礼をしたいと思って飴を持ってきた。なにしろよっちゃんがどこに住んでいるのかも知らない。山の中で会うだけなのだ。だからよっちゃんが通りかかったらその時に飴を渡そうと思って持ち歩いていたのである。飴の袋は結構重くて
しかしそういう時にはよっちゃんは来ない。そんな日が二日ほど続いて、とうとうよっちゃんに会えた。すると飴を渡すより先に夏みかんをくれると言う。
畑でたくさん出来るので、猿やカラスにつつかれないうちに採ったのだそうだ。
蜜柑は大好きで、家に帰ってからまず蜜柑を食べるのが近頃の習慣になった。めまいがして気持ち悪くても蜜柑なら食べられるからだ。ちょうど蜜柑が無くなって買いに行かなきゃと思っていたところなのでものすごくありがたかった。それで飴を渡すとよっちゃんは喜んで、さらに蜜柑をくれた。この蜜柑は農薬も使っていないので、皮は干してお風呂に入る時にも使っている。これがじんわり温まって良い心地である。
なんとありがたいことだろうか。
よっちゃんかどうか、いつも名前を聞きそびれてしまうけれど、ありがたい気持ちで山の中を歩く。よっちゃんいつもありがとう、とよっちゃんかどうかわからない人のことを想いながらこれを書いている。
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お魚さんありがとう。
23/Jan.2021 [Sat] 10:06
熱帯魚が好きで家には小さな水槽がある。
結婚した当時に買ったもので
今でもそれを使っている。
今飼っているのはグッピーでこれがやたらと増える。
見ると小さな小さな稚魚が生まれていて
「また産まれているよ」
と妻に報告するのが日課のようになってしまった。
小さな水槽なので、こんなに生まれて大丈夫なんだろうか
と心配になるけれど、大丈夫らしい。
朝起きてゆくと、もう本当に魚の群れが水面で塊になって蠢いているように見える。
餌が欲しいと言っているのだ。
それで餌をあげると、今度は水草に生えた苔を食べ始める。
それを見た妻が
「餌あげなよ」
と言うので困ってしまう。
今あげたばかりなのに、どうしてお前たちはそんなにがっついているんだ? と思ってしまう。
水草も元気で、植えてから枯れもせず何年もそのままになっている。稚魚が多いので、掃除も出来ないのだ。
でも飼っているものが元気で活きいきしているのを見るのはありがたいことだ。
犬も可愛かったけれど、魚だって可愛い。犬は嘘もついたけど魚は嘘もつかないし、文句も言わない。そのかわりきちんと見ていないと何も言わずに死んでしまうので責任重大である。
生まれてくる稚魚がどんな色をしているのかを眺めるのも楽しみだ。近頃産まれたものは尾ひれの部分だけオレンジ色であとはグレー。これが綺麗でびっくりした。
寒くなってきたのでヒーターを入れて水温を上げた。この間まで暑くて水温を下げるのに苦労をしていたのになぁ。お魚さんありがとう。
いつも元気でありがとう。
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たぶん、たぶん、たぶん。
20/Jan.2021 [Wed] 13:56
ラジオを聴いていたらナットキングコールの「キサス-キサス-キサス」という曲が流れてきて、ああこれは映画の「花様年華」で流れていた曲だったな、と思い出した。
花様年華、不思議な味わいのある良い映画でしたね。大好きな映画のひとつでまた観たくなった。
香港のアパートの隣同士に住む男女の話だけれど、これが良いのである。主人公の男が、彼女に惹かれながらその一線を越えられない。でもそこが良いのである。路地裏の風景や食事の風景も大好きで何度観ても「良いなぁ」と思う。
コロナが流行って家から出ない日が多いので家にあるDVDを繰り返し観ることが多い。
家にあってよく観るのは「羊たちの沈黙」これはストーリー展開がものすごく面白い。
「イエスマン」もよく観る。ノーとばかり言っていた主人公がノーと言わなくなったことで人生がどんどん変わってゆく話で、笑って観ているけど確かになぁと思うところも多い。来た災難はすべて自分で受けなさい、という話を聞いたことがあるけれど、その通りのことを言っているのだ。
あとは「遥かなる山の呼び声」山田洋次監督作品。これも良い映画だ。高倉健が殺人を犯して北海道の中を隠れながら流浪している。倍賞千恵子が一人で切り盛りする牧場にフラッと来て、そこから話が始まる。何度観てもラストでは必ず泣いてしまう。ハナ肇が良い味だった。
山田洋次監督の「家族」という映画もあって、これは身につまされる。瀬戸内で漁協をしている家族が次第にその仕事では食べられなくなり、埋め立てに使う石を積んで尾道まで運ぶ仕事をするようになる。けれどもその船も古くなり、修理にもお金が掛かるのでこれからどうするか? 家族で考えてゆく話だ。近代化の波に押されて、それまでの仕事を捨てて大都市に移ってゆく家族の姿を淡々と描いた秀作である。
「ブレードランナー」もよく観る。続編の2049も何度も観て、最近ようやくストーリーが飲み込めた。
この間はトムハンクス主演の「人生への回り道」という映画を観た。これも良い映画だった。優しい気持ちになる映画でまだ観ていない人にはお勧めしたい一本である。
映画は良いなぁ。
花様年華を観たら「青いパパイヤの香り」も観たくなって、そうなると「覇王別姫」も観たくなる。
トムハンクスなら「ビッグ」も好きだ。今は時間があるのでそんなことも出来る。ありがたいことである。
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年賀状を眺める楽しみ。
15/Jan.2021 [Fri] 15:04
年賀状が来て、それを眺めるのが楽しみだ。
定年退職をした人は山に登る人が多いのか、一年間で制覇した山の写真を載せる人が多かった。
自転車に乗って1000キロ走破したという友人もいた。大島が一周42キロなので、それを考えるとすごい。
癌が良くなりつつあるとある友人もいた。なんて嬉しいお知らせだろう。素晴らしいことである。

北海道に住む友人からはラジオのコンシェルジュをしているという知らせも受けた。
バーコードリーダーが付いていて、早速聴いてみた。
おおー芸達者だ。
素晴らしい。良いなあ、みんな頑張っているなぁ。

同級生のU村くんからは家族の写真が送られてきた。
この家族の写真を見るのも毎年の楽しみだ。娘さんがどんどん成長して、写真の前面に出てきている。その家族の写真の横に小さな手書きの文字で「hpいつも楽しく拝見しています」と、書かれている。
懐かしいなぁU村くん。
大学に通いながら働いていた神楽坂の酒屋で一緒だったのだ。初めて回転寿司に連れて行ってくれたのもUくんだった。神保町だったな。寿司が回転ベルトに載って流れてくるのには胸が躍った。「俺は28皿喰った」「俺なんか32皿喰ったもんな」と自慢げに言い合って若かったなあ。
あとは滝○ロ事件というのがあって、当時は金もなく部屋で飲むことが多く、しかしこのUくんは酒に弱いのに大食いで、三階のぼくの部屋で酔っ払ったあと雑魚寝をしていて、吐き気を催し、しかしトイレは2階なので間に合わず、階段の上から下まで吐いたという大人物てある。しかもそれを片付けずに学校に行ってしまった。
日中働いていたぼくと石岡さんの二人で昼休みの時間を目一杯使ってこの滝のようなものを片付けた思い出がある。
胃液の酸で木の階段の塗料が剥げていたのが驚きだった。こんなことが今小説を書くことに役立っている。
お前、この話を娘さんにもしてあげろよな、と年賀状の写真を見ながら心の中で思った。今年の写真の中でU村くんは少し微笑んでいてなんだか嬉しそうだ。
友達って良いもんだなぁ、同級生でなきゃこんなこと書けないもんな。
もうお互いに歳だから、一度みんなで会いたいもんだと思っている。
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ワクワクすること、ありますか?
06/Jan.2021 [Wed] 22:05
近頃はワクワクする夢を見ることが多い。
そういう夢を見るのは決まって焼酎の仕込みをしているときだ。
たぶん、肉体的にも精神的にもギリギリのところまで追い詰められて
その反動で夢は楽しいものを見るように脳がしているのではないか
と思われる。
自分のことなのに、自分の領域の範囲外ということがまず面白い。
銀河系のことを考えている地球人のような壮大な気持ちになる。
昨日の夢はイラストと文章で綴る一枚の原稿を描いていて
それが面白いので、自分でも笑ってしまう、というものだった。
ここをもっと描き込んでみたらいいのではないか?
と思って、描き込んでゆくと、いじりすぎて、つまらなくなってやめた。
そんなふうに試行錯誤を繰り返して出来あがったものがなかなか良いものになって
満足したという夢である。
目が覚めて思い返してみると、年賀状のことを考えていたらしいことがなんとなく分かった。
一行の面白さと描写力が自分にはないので、それをなんとか出来ないか? と考えているらしい。
しかし、夢の中ではいい線まで行っているのである。
年賀状を書いていないので早くやらなきゃ、という焦りもあるのだろう。(すみません、もう少しお待ちください)
頭は大きくても、使う脳みその領域は小さいので
(こんな頭で一生懸命考えているんやなあ、健気やなあ)
と何故か関西弁で思った。
とにかく今見る夢は楽しいものが多いことだけは確かだ。しかもよく眠れる。お正月はゆっくりしようと、一日10時間くらい眠った。高校生に戻ったような気分だ。
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目では食べたいものばかり。
03/Jan.2021 [Sun] 12:07
朝はお粥と味噌汁、昼は玄米を茶碗に一膳と野菜ラーメン、夜は野菜の煮込みが一品か二品、というのがいつもの食事だ。
昨年は痩せてしまい、体力も無いので仕込みの重労働に耐えられるか? と思ったけれど、かと言って栄養のあるものも食べられない。
そんなわけで体重もさらに減った。しかしこんな食事でも身体は平気らしく
「なーんだ、こんな粗食でもやっていけるんだ」
と分かった。特に栄養のあるものを食べなくとも身体は持っている。身体を使う仕事なので、塩だけはきちんと摂っている。
(でも仕事を終えてご飯の前に一杯やりながらチーズとナッツを食べるのでこれでも栄養を充分摂っているのかもしれない)
本来が食べ過ぎだったんだろう。
アンパン一つが食べられないので、一度に四分の一ずつゆっくりよく噛んで食べる。そうしないと胃が苦しくなるからだ。
食べたいものが無くなっていくのと、あれも食べたい、これも食べたいと思うのとどっちが良いか? と言われたらやはり美味しくなんでも食べられる方が楽しいだろう。
欲がなくなってくると、世間の言っていることからも離れて、なんだか世の中から半歩くらい遠ざかったような気持ちになる。
人が面白いと言うものも、あまり興味がないし、そうだ、即身成仏になる人が最後は漆を飲んで胃をきれいにしたと言うことを聞いたけれど、そんなふうになりつつあるのかな? と思った。
即身成仏になりたいわけではない。けれどもゆっくりとそれに近づいているらしい。
歳を重ねてどこか悪いところも特になく、毎日飲む薬もない。同年代の人は高血圧だとか、糖尿だとか、薬をザラザラ飲んでいるけれど、そんなものも必要ない。
ごく自然に、生きたまま即身成仏に近づいていけるのならこんなにありがたいことはない。そのままコロッといけるのならどんなにいいかと思う。
正月早々ロクでもないことを書きやがるな、と思われる人も多いだろう。でも、今はそんな気持ちだ。青い空がそのまま自分のようなとても澄んだ気持ちだ。
無理に食べなくても良いんだ、ということがわかって目から鱗が落ちた。
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明けましておめでとうございます。
01/Jan.2021 [Fri] 13:48
新年明けましておめでとうございます。
新しい年が皆さんにとって良い年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

妻がお正月用に百合の花とチューリップの花を買ってきてくれた。
毎年、庭に咲く水仙の花を切って食卓に飾るのだけれど、今年はこの水仙がまったく咲かず、変だねと妻は言っている。
台風で海から吹き上げてくる塩にやられてしまったのかもしれない。
家の中が寒いので花もなかなか開かないけれど、チューリップの花が可愛い。黄色い蕾が二本、サーモンピンクに黄色の混じった蕾が一本、花瓶に飾られた。
花を見てああ可愛いなぁ、という気持ちになったのは久しぶりのことだ。仕込みで気持ちが急いて、これまでそんな余裕もなかったのだろう。
久しぶりにこういう気持ちになれて嬉しい。
あっ、百合の花も開いてきた。白い花の中にエンジと茶の混じった花弁が覗いている。綺麗だなぁ。
お風呂に浸かれば(ああ気持ち良い)お日様に当たれば(ああ温かいなあ)と思う余裕がなかったのだ。
新しい年がどんなふうになってゆくのか、誰にもわからない。でも希望を持って過ごしたいと思っています。
今年は初詣にも行かず、お雑煮を食べ終えたところです。
仕込みも順調で美味しい御神火が生まれてきています。五年越しで取り組んでいる新しい麹作りにも目処が立ってきて、さらに旨味のある焼酎が出来つつあります。
楽しみにお待ちください。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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