日本で唯一の屋根に椿の木を植えた店舗から作家、社長、杜氏である谷口英久が綴る抱腹絶倒の「Blog」
年に一度か二度、顔を見に行くのが楽しみ。
19/Jan.2022 [Wed] 14:10
秋葉原の整骨院の帰り道、そういえばこの辺りはアッコの店の近くじゃないか? とふと思う。
アッコというのは従姉妹の子どもで、二年半くらい前にパン屋を始めた。
一人でパンを作り、一人で売る、というスタイルで、開店早々コロナ禍になったのにもかかわらず行列の出来る店になった。
忙しそうなのでいつも顔を見て二言三言話して帰る。
一人だと身体を壊すよ、と言いたいけれど、それは自分も同じである。
同じだから、辛いところもよくわかるという訳だ。
アッコは気質が似ているというのか、黙々と自分の味を追求していて、それを見るとやはり応援したくなる。
でもぼくが応援しようとしまいと、忙しいことに変わりはなく、言うだけ野暮ということもわかっている。
だから顔だけ見て「元気か?」とだけ声をかける。
その日はもう夕方に近い時間でまだやっているかな? と思いながら店に行くと、お客さんが一人買い物をしていた。
良かった。これなら少しは立ち話ができるかな、と思いながら店先に立った。
店といっても間口一軒の対面販売で、奥にパンを作る工房があるだけのシンプルな作りだ。
「元気か?」
と声をかけると「お兄ちゃん? 」とびっくりしたような顔をしている。
「ギックリ腰になって近くの整骨院まで来たんだよ」
と言うと
「あー、腰ね」
と、わかったような顔をしている。
パンの小麦粉の袋も25キロもあるので持ち上げるときにギクっとなったことがあるのだそうだ。
アッコは痩せているし、この身体で25キロのものを持ち上げられるのか? とびっくりした。
少し話しているともう次のお客さんが来て、自分の買いたいパンを注文して買って帰ることにした。
「じゃあな、元気でな」
と言って帰る。
でも年に一度か二度、こうして顔を見るだけで、来て良かったなぁ、という気持ちになる。
大して食べられないので、パンも少ししか買わなかったけれど、よく考えたらもっと買って眼科の先生にもお土産にすれば良かったんだな、と思った。
まったく考えが足りないといつもながら反省する。
腰はどんどん痛くなってきて、駅に着く頃にはまたいつもの変な格好になって歩いていた。
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ふつうに歩いている人を見ると不思議な気持ちになる。
15/Jan.2022 [Sat] 13:53
蒸留が終わったら気が緩んだのか、まるで腰が立たなくなってしまった。
今まではなんとか歩いて仕事もしていたのだけど、終わった途端歩けなくなってしまった。
こうなると困るけど、本当にどうしようもない。
そのまま二日間、何も出来ずに過ごしてしまった。
暮れで注文も多いので、瓶詰めもしないと間に合わなくなるのに、何にも出来ない。
参ったなあ、と思っているうちに出荷する焼酎がなくなってしまった。
なんとか動けないか? と思うけど腰がまるで立たない。
空瓶の入った箱さえ持つことが出来ないのだ。
やれやれ、仕方ないですね。
注文を少し待ってもらって、とにかく少しずつ仕事を始めた。
目の具合もおかしくて左目に何か輪っかのようなものが見えるので眼科に行きたくて一日だけ東京に出かけた。
船の中をヨタヨタ歩いていると同級生がいて笑っている。
「腰か?」
と聞かれて
「そうだ。もうダメだ」
と答える。
その後ろの席にも知り合いがいてクスクス笑っている。
そんなにおかしいのかなぁ? と思うけど、おかしいのだろう。
ネットで見つけた腰専門の整骨院が秋葉原にあって、「必ず治ります」と言うので眼科に行く前に寄ってみた。
そこではゴム製のトンカチを患部に当ててトンカン叩いて治すということが整骨院に行って初めてわかった。
初診は二回の施術で、2980円だというけど、そう言いながら五回の高いチケットを買わせたりするんだよなあ、と思いながら施術台に横になる。
トントコトントコ、痛いところを叩くだけの治療。
しかし2980円の施術は時間が短いのでこの腰を治すには基本の初回診察の方をお薦めしたい、と院長。
ほら来た、ここからが高いんだよな、でも歩けるようになるならという思いと、こんなので治るわけないだろ? とという気持ちが交錯する。
結局、院長の言う通り高い方の施術料金を払うことにした。
するとあら不思議、帰りはスタスタ歩けるようになってしまった。今まで立ち上がることさえ出来なかったのに、これは不思議だ。
一体どうしたんだ? と思いながら歩いているとそのうちまた痛くなってきた。腰がガクガクし始めてほらね、やっぱり、と思う。
そんな訳ないんだよ、高い治療費だったよな。と後悔しながら駅までの道を歩いた。
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名前のない友だち
11/Jan.2022 [Tue] 14:40
蒸留がすべて終わった。
今年度の造りの計画ではあと三本仕込みが残っているけれど、とにかく腰が治るまではしばらく休もう、ということになった。
そう言っても仕事は続くわけで出荷もするし瓶詰めもする。
でも仕込みが一段落したので気持ちはホッとした。
杖にすがりながらでも、なんとか仕事が出来たので、やれやれと思っている。
腰が悪いあいだ、仲良しのカラスが毎日のように様子を見に来てくれた。
工場の入り口に来ては「来たよ」というふうに鳴く。
それで顔を出すと近くまで寄ってくる。
昨日は骨を口に咥えて、すぐそばの低い屋根の上から投げてくれた。
咥えていた骨を口から離して屋根の上に置くと、ぼくの顔を見ている。
「くれるの?」
と聞くとカラスは首を傾げている。お土産のつもりなんだろうか。
「ありがとうね」
と御礼を言った。
このカラスには来るたびに何かしら声を掛ける。
それで少しずつ近くにくるようになった。
他の人だとすぐに逃げるけれど、ぼくがいると逃げずにジッとしている。
骨を貰ってもぼくは食べられないけれど、カラスには宝ものなんだろう。
骨は屋根の上に載ったままにしておいたら、翌日はそれを扉の入り口まで持ってきた。
やっぱりくれるつもりらしい。
その翌日、ちょうどタケシくんがいて、ぼくがカラスに
「昨日ありがとうな」
と声を掛けるとタケシくんは変な顔をしていた。
この人はおかしいぞ、というような顔つきだった。
カラスが遊びに来てくれるなんてどんなに素晴らしいことか。
とにかく自分としては嬉しい気持ちになる。
ありがとうね、と心からカラスに言いたい。
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明けましておめでとうございます。
06/Jan.2022 [Thu] 21:49
妻がチューリップを買ってきてくれた。
薄いオレンジ色に黄色が薄く混じっている。
夜になるとその下に小さなロウソクが灯って、花を下から照らしていた。
ロウソクの炎が揺れて、花に映って、それを見ていると飽きない。
花は家の中が寒いので、いつまでも蕾んだまま、みんな上を向いている。
花を飾ると家の中が明るくなるから好きだ。

今朝はメジロが窓辺にやってきた。
丸い身体に嘴がスッと尖って、これもかわいい。
寒いから膨らんでいるのだろうか。
丸々して見える。
窓辺にミカンを切って置いておいたら、それに気がついて食べにくるようになった。
一羽でくる時は周りを気にして落ち着かないのか、忙しく首を曲げてあちこち様子を伺いながら食べている。
そのうち仲間と何羽かで来て、代わりばんこに食べるようになった。
一羽が食べている間、ほかのメジロが見張りをしてくれるので安心して食べられるらしい。しかしゆっくり食べていると「早くしろよ」というふうに仲間から小突かれて喧嘩が始まる。
メジロにもそれぞれ性格があって、ゆっくり食べるものや、忙しくミカンをつつくものやら色々で見飽きない。

一昨日はヒヨドリの群れが空を舞っているのを見かけた。
どこに行くのか、どこからか飛んできたのか、黒い渦のようにまとまって空をうねりながら、飛び去っていった。
昨日まで吹き荒れていた風も少し収まってきて、静かなお正月の朝になった。

明けましておめでとうございます。
本年も皆様にとって良い年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
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